さたでいのジャケット写真

歌詞

命を宿してしまった器官

Galactic (Fire) kids

呼吸をするたびに

すこしずつ減っている気がして

最初はそれが、気のせいだと思っていた

口の中に、いつも傷があった

寝ているあいだに噛んだのか

自分で開けたのか、もう覚えていない

鏡を見るたびに

少しずつ透明になっていく

あごの線、指の関節、

他の誰にも似ていないのに

誰にも気づかれない部位ばかりが

いちばん濃かった

これは苦しみじゃない

これはわがままじゃない

これは命を宿してしまった

名のない器官の夜だ

わかるか

わからないままでもいいから

聞いてくれ

人を好きになれない

というより

好きになる権利を

初めから持たされなかった

そんな気がした

選べないものは

全部“お前の問題”として返ってきた

誰も責めていないのに

世界中が

「ただ見ているだけ」と言った

それがいちばん、怖かった

これは逃げじゃない

これは叫びじゃない

これは体の一部が

もう火を入れられない、という合図だ

わかるか

わからないなら

せめて見ていろ

せめて、黙ってくれ

聖書を開いた

なにか答えがあると思った

だが書いてなかった

「名前のない存在がどうやって

自分を守ればいいか」が

性別も、性欲も、性質も

人並みに欲しかった

だが、“正常”と呼ばれるすべてが

刃物みたいに皮膚をかすめた

これは告白じゃない

これは祈りじゃない

ただ、生きることに

意味をくれなかった世界に

ひとつだけ

痕跡を残したくて

この夜を書いた

枕が濡れていた

涙じゃなかった

鼻血でもなかった

じゃあなんだったのか

その答えだけ

どこにも書いてなかっ…

  • 作詞者

    Galactic (Fire) kids

  • 作曲者

    Galactic (Fire) kids

  • プロデューサー

    Galactic (Fire) kids

  • ボーカル

    Galactic (Fire) kids

  • ソングライター

    Galactic (Fire) kids

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アルバム「さたでい」は、はっきりとした答えやメッセージを語らず、代わりに“見えないものの気配”を淡く記録した作品集。
土曜日という一日を、どこにも定着できない曖昧な存在の象徴として描き、幽霊のように漂う感覚や、音もなく重なり合う記憶の影を丁寧に紡いでいる。
マイノリティの視点をほんのりと匂わせながら、個々が持つ孤独や透明な痛みを、アコースティックで繊細なサウンドとともに表現。
日常のすき間にあるわずかな光や呼吸の気配を音に落とし込み、言葉にならないまま残される心の軌跡を追いかけるアルバム。

アーティスト情報

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