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君を蝕むモノの代わりになりたい”——そう歌うこの曲は、
自己犠牲でもなければ、救いでもない。
溶け合いたい。君の一部になりたい。
その衝動を、息をするように、静かに、しかし確実に投げかけてくる。
サウンドの構築もまた、この歪んだ純愛にふさわしい。
柔らかなシンセが、夜の街を滲ませるように漂い、
サカナクションを思わせる透明で中毒的なポップ感が全体を包み込む。
だがその奥には、Aphex Twin『girl/boy song』の不穏な影が忍び寄る。
美しさと狂気の境界線を、ギリギリで綱渡りするような異物感。
そこに、808の低音が静かに鳴り響き、まるで鼓動のようにリスナーの胸を震わせる。
ボーカルは、言葉をそのまま伝えるのではない。
エフェクトというフィルターを通してわずかに歪められた声が、かえって切実さを増幅させていく。
機械的であるがゆえに滲み出る人間的な熱——
それは、テクノロジーとエモーションの奇跡的な交点だ。
繰り返される“主流煙になって君の肺まで”というフレーズは、
呪いのようでもあり、祈りのようでもある。
この曲は、誰かを想うラブソングじゃない。
愛に呑まれた誰かの、内なる独白だ。
だからこそ、静かに、でも深く、
聴く者の肺の奥まで染み込んでくる。
それはもう、音楽じゃない。“煙”だ。
気づけば、君もすでに、吸い込んでしまっているかもしれない。
Cigamacla(シガマクラ)、北海道札幌市出身、2003年生まれ。従来のヒップホップとは異なり、愛と孤独をテーマに革新的なサウンドで新たなシーンを牽引するZ世代の台頭。
Cotton Lights Music