歌詞

『みらいの手紙（未来の手紙）』

うた：SMIRE

誰もが胸の奥に、いつか伝えられなかった言葉をひとつは持っているのではないでしょうか。
ありがとう、ごめんね、元気でいてね――。
そんな想いを閉じ込めたまま、時間だけが静かに流れていく。
けれどこの歌は、その沈黙をそっとほどいてくれる優しい手紙のような楽曲です。

「みらいの手紙」は、SMIREがこれまで大切にしてきた“寄り添う歌”の真髄を感じさせる作品です。
穏やかなピアノから始まり、透明な歌声がまるで空気に溶け込むように広がっていきます。
そこには、聴く人の心に静かに語りかけるような温度があります。
一語一語が呼吸のように自然で、まるで自分の記憶の中から生まれた物語のように感じられるはずです。

この歌の主人公は、もう会えなくなった「君」へ想いを綴ります。
夕暮れの街を歩きながら、胸の奥に残る優しさや痛みを言葉に変えていく。
「時がすべてを流しても、決して消えないものがある」――その一節は、聴く人の心を深く包み込みます。
悲しみを否定せず、受けとめ、やがて光へと変えていく。
そんな静かな強さが、この歌には息づいています。

SMIREの声は、まるでガラス越しに差し込む朝の光のようです。
儚さの中にある確かな温もり、優しさの中に潜む力強さ。
それは彼女だけが持つ特別な響きであり、音楽という枠を超えて“心の温度”そのものを伝えてくれます。
聴くたびに新しい記憶が呼び起こされ、言葉にできない涙がこぼれるような――
そんな体験が、この「みらいの手紙」には詰まっています。

この曲は、単なるバラードではありません。
それは「未来」へ向けて書かれた希望の手紙であり、過去の痛みを優しく包み込む祈りのような作品です。
“もしも明日が見えなくなっても、この手紙を届けたい”という歌詞の通り、
聴く人それぞれの心に静かに届き、そっと背中を押してくれるのです。

制作の過程でも、SMIREは“声でどこまで優しさを表現できるか”にこだわりました。
強く歌うのではなく、まるで耳元で囁くように語る。
その中に生まれる一瞬の息づかいや間が、まるで手紙の余白のように深い意味を持っています。
音の隙間に漂う静寂さえも、この曲の一部として聴こえるように計算されています。

ピアノの旋律は、夜明け前の空気のように静かで、
ストリングスがやがてやさしく寄り添う瞬間、
聴く人はきっと心の奥で「自分の大切な誰か」を思い浮かべることでしょう。
涙があふれても、それは悲しみの涙ではなく、どこか懐かしく、あたたかい涙。
忘れていた“生きる力”をもう一度取り戻すような、不思議な安らぎが広がっていきます。

「みらいの手紙」は、過去を悔やむ歌ではありません。
むしろ“今ここから歩き出す勇気”を優しく照らす光です。
失ったものや、離れてしまった人との思い出さえ、未来へつながる一部として抱きしめていく。
その姿勢こそが、SMIREの音楽が持つ根源的な美しさなのです。

ラストの一節、「そらに残した想いを　君がいつか読めるように」――。
この言葉は、SMIRE自身のメッセージでもあります。
誰かの記憶の中に、希望の音が届くように。
そして、その人がまた誰かの心に灯をともすように。
そんな願いを込めて、SMIREはこの曲を未来へ送り出しました。

静かに始まり、静かに終わる。けれど、その余韻はいつまでも消えません。
それは、手紙を読み終えたあとに残る温もりのように、
あなたの心の中で静かに息づき続けるはずです。

今、世界がどれほど速く変わっても、
本当に大切な言葉はきっと「優しさ」と「つながり」だと思います。
この曲は、その原点を思い出させてくれる小さな灯のような存在です。
忙しい毎日の中で、ふと立ち止まって空を見上げたとき、
この歌があなたの心の中でそっと響いてくれたら――
それがSMIREにとって、何よりの幸せです。

聴くたびに少しだけ前を向けるような、
涙のあとに光が差すような、そんな歌をSMIREは願いを込めて届けます。
「みらいの手紙」は、あなたの明日へ贈る、静かなエールです。