東の空が白む。海面が黒から青に色を変えていくのを、貝たちだけが見ていた。泡立つ砂に身を埋め、規則的に呼吸を繰り返す、ただ在る沈黙が朝を迎えようとしている、その最中に、少女がひとり浜に降りてくる。
砂はまだ昨日降った雨を含んでいて、ひどく頼りない彼女の足取りが、くっきりと跡を残した。海から来る風に煽られて、細い肢体が不安定に揺れる。白いシャツが膨らみ、飛び立とうとする雛が羽を広げているようにも見えた。
波打ち際に立ち、少女はゆっくりと、水平線をなぞるように視線を動かした。凪いでいた。沈黙だけがそこにあることを確認した。行く先を見失ったように、海面から上がる陽にただ顔を向け、ローファーの爪先が水に濡れても、空と海が真っ青に変わっても、そうしていた。
やがて、名も知らぬ鳥の鳴き声がして、見晴るかす海の向こうに、大きな影が立ち現れてくる。鉄塔と工場、肩を寄せ合う家々、それらは徐々に確かな形を持ち、水平線を埋めていく。少女はようやく瞼を伏せ、その知らない街の風景に背を向けて、自分の足跡を辿り始めた。
- Lyricist
Koyoi
- Composer
CLAM AND MIRAGE
Listen to Outro : Morning calm by CLAM AND MIRAGE
Streaming / Download
- 1
Be Vacuous
CLAM AND MIRAGE
- 2
I hear the sea roar
CLAM AND MIRAGE
- 3
Interlude : Rain shelter
CLAM AND MIRAGE
- 4
Last Scene
CLAM AND MIRAGE
- ⚫︎
Outro : Morning calm
CLAM AND MIRAGE
Artist Profile
CLAM AND MIRAGE
Weaving a story with a roaring sound. Started activities in 2022.
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