Lyric

降り注ぐ視線のその外側で

僕らの影だけが長く伸びていた

街角を照らす喝采は

この部屋の闇を深くするだけ

無数の写真の向こう側

誰かが呼吸している眩しい世界

楽しいって君が笑うほど

その瞳の奥に影が揺れて見えた

幸福な世界の片隅で

君がふと漏らした小さなためいき

ああ君もこの映画の

名前のない一人なのか

終わらない景色を二人で描こう

忘れ去られる名もなきエキストラ

さよならさえも台詞にならない場所で

僕ら世界の景色になっていく

終電を逃した駅のホームで

僕らは決して明日を語らない

互いの過去を探るような

無駄な言葉だけをただ交換した

ここが一番落ち着くねって

君が笑った無人の埠頭

ありふれた言葉捨て去って

白い息だけが言葉の代わりに

ここにいると聞こえた気がした

世界中のどんな言葉を探すよりも

確かだったから

僕らは互いの孤独の観客だった

終わらない景色を二人で描こう

忘れ去られる名もなきエキストラ

助けてさえも遠い市声に掻き消されて

僕ら互いの景色になっていく

ああそうか

僕らずっと騙されてたんだ

主人公なんてどこにも居なかった

僕らが眩しいと目を閉じていただけ

人生の主役は自分だなんて

誰かが書いた一行の台詞だった

エキストラだって構わないさ

君という共犯の『片割れ』が

隣にいるなら

主役不在のこのシナリオを

僕ら互いの名前だけで満たしてしまおう

終わらない景色を二人で描こう

僕ら自身がその景色になろう