

盆の入り前 夜半の呼び鈴
提げてきた籠 水蜜の白
「朝の汽車で」と 靴を脱ぎながら
冷やしておくわと 包みを受ける
日曜の顔を 私は知らない
外す腕時計 指輪の跡も
氷水に沈む 桃の丸み
指で確かめる 熟れの手前
皮の薄さは 一晩の薄さ
剥けば果汁が 手首を伝う
氷の溶ける 鉢の水音
今夜の分だけ 唇にのせる
「秋になったら」と あなたが言いかけ
種のまわりで ナイフが止まる
続きの話は 桃より傷む
汗の浮く肌 夜風が渡る
小田急を下れば 盆は帰れる
帰らない夏を 重ねてきたの
湯呑みをひとつ 棚へ戻して
扇風機だけ 首を振ってる
最後のひと切れ 種から外す
分け合う甘さも 今夜で仕舞い
「秋」の続きは 言わせないまま
果汁の指で 灯りを消した
朝の皿には 種がふたつ
紙に包んで 迷わず捨てる
時刻のメモは 新聞の下
指に残った 甘さも今日まで
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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水蜜のモルビド
Akemi
「水蜜のモルビド」は、盆の入りの前夜に訪れた人と過ごす最後の一夜を、日持ちしない果実の甘さに重ねて描いたミディアムテンポのシティポップ。
夜半の呼び鈴、提げてきた水蜜桃の籠、外した腕時計に残る指輪の跡、氷水に沈む果実の丸み、そして種のまわりで止まるナイフ――部屋の中だけで完結してきた関係の期限が、熟れの進みとともに静かに浮かび上がっていく。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、「秋になったら」と続きを口にしかける相手の前で、誰かの留守を埋める器にはならないと決め、終わりの時期を自分の手で選ぶ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、真夏の夜の部屋、扇風機の風、果実の甘さと肌の湿度を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
最後のひと切れを種から外して分け合い、果汁の残る指で灯りを消す、その一連の手つき。
翌朝、皿の種を紙に包んで迷わず捨て、汽車の時刻は訊かないまま指先の甘さにも期限を引く――そんな成熟した別れを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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