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「かわさき」に続く3作目のシングルとして、中西レモンが2026年3月20日に新曲をリリースする。 今作は青森県黒石市に伝わる盆踊り唄「黒石よされ」を原曲に据えた意欲作。
グナワ音楽にも使われる北アフリカのパーカッションから始まり、中西の唄にダブルベース、砂漠を思わせる乾いたギターが絡む。ビートチェンジを経て登場する地鳴りまたは吹雪のようなストリングスは、プロデューサー/アレンジャーのあがさが敬愛するビートルズを彷彿とさせる。野性味あふれる中西の歌声に華を添えるすずめのティアーズがコーラスワークはまるでYESのようでもある。 エンジニアは折坂悠太などを手掛ける中村公輔が務めている。
なお、本作は2ndアルバムのリリースに向けたプロジェクトの一環として発表されるもので、今後5ヶ月連続でシングルをリリース予定。進化を続ける中西レモンの現在地を示す重要な一曲となっている。
中西レモンのファースト・アルバム『ひなのいえづと』(2022)は、プロデューサー/アレンジャーのあがさと、佐藤みゆきとのデュオ〈すずめのティアーズ〉による『Sparrow’s Arrows Fly so High』(2024)と並び、ポスト・パンデミック期の日本においてローカル/ヴァナキュラーな感性に根ざしたポップ音楽の新たな地平を切り拓いた重要作である。中西の歌う民謡や瞽女唄、座敷唄は、均質化された「民謡」や保存された「民俗芸能」とは異なり、市井の人々の実践の中で培われた猥雑さ、打算、残酷さ、滑稽味までも含み込む。その表現は、世界各地の音楽要素を大胆に織り込むあがさの編曲によって、いっそう鮮烈なものとなっている。 中西レモンは、単なる民謡ポップの新星として現れたわけではない。十代から市井の芸能に惹かれ、各地の盆踊りに参与しつつ、美術やダンス作品の制作も行ってきた。さらに、日本および東アジアの周縁的な音楽・芸能を扱うオフノート・レーベルのスタッフとして活動し、くずし字で書かれた近世以降の庶民芸能資料を読む会の案内人も務めている。 こうした活動を経て、初代桜川唯丸による江州音頭の通信講座「モノガタリ宇宙の会」に関わったことから、歌手としてのキャリアが本格化する。同講座を母体とした社中は、2010年代以降のオルタナティヴな盆踊りシーンで注目を集め、すずめのティアーズもそこから生まれた。コロナ禍を機に制作された『ひなのいえづと』に続き、『ODORI ONDO』(2023)では江州音頭をヒップホップとモーラムで再解釈し、現代の盆踊りシーンの躍動を鮮やかに提示している。中西レモンは、庶民の祭礼と娯楽の継承を通じて、きわめて現代的でオルタナティヴな表現を切り拓く存在である。
DOYASA! Records