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大げさなストリングス(string arrangements)や空間を埋めるシンセパッド、そして感情を煽るパワーバラードの過剰演出(power ballad dynamics)を徹底的に焼き尽くし、別れの瞬間の生々しいディテールと労働者階級の抑制された視点を形にした1994年風のブリットポップ・アコースティックバラードです。Oasisのシングル盤の裏にひっそりと収録されている「隠れた名B面(b-side weight)」のようなBPM86の遅効性グルーヴ。イントロからヴァースにかけては、ピックが弦を擦る摩擦音(string friction)が剥き出しのアコースティックギターと、独立して歌うメロディックなベースラインだけで構成され、完全に乾いた極小の密室音響空間(narrow room layout)を構築しています。
歌詞の核となるのは、ドラマを徹底的に拒絶した「記憶のバグ」。「重大な別れ話をされている最中、なぜか相手の少しだけ下がった左肩のラインばかりを見つめていた。最後の瞬間というのは、それが起きている間は、他のありふれた日常と全く同じ姿をしている」。そんな実存的な虚無と諦念。感情を排したフラットな歌い回し(flat delivery)は、ピッチ補正(autotune)を完全に拒絶し、生々しい呼吸のノイズを残したまま耳元に張り付きます。サビで控えめに参入するドラム(sparse drums staying back)の引き算を経て、ブリッジでは重ねられた静かな声が和音を作らずに重なり合う不穏な演出を敢行。最後は自動フェードアウトを拒絶し、呟きの途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致を提示する大傑作です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。