リリース日: 2026/09/21
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太平洋戦争を生き残った父は、戦後、民間航空会社の教官を経て国連パイロットとしてイランへ派遣された。
GPSもない時代、イランの高原を飛びながら地図を作り、砂漠の表情や人々の穏やかな文化に触れたという。
その後は帰国し、さまざまな職を経て、定年後は仲間に呼ばれてカナダで約30年を過ごし、晩年は日本に戻り静かに生涯を終えた。
僕はその後ろ姿を見て育った。
厳しく、寡黙で、深い会話はほとんどない。
それでも、イランの砂漠の話や、現地の人々の誠実さだけは覚えている。
父の名字「砂守(すなもり)」が、ペルシャ語の挨拶「サナマリクン」に似ていて、
現地の人々が親しみを込めて呼んでくれたことを、父は嬉しそうに話していた。
僕にとってイランは、報道で語られるイメージとはまったく違う。
穏やかで、誠実で、尊厳を大切にする文化だ。
だからこそ、現在の状況を見るたび胸が痛む。
この楽曲は、そんな父が見た空と砂漠、そしてイランの人々への敬意から生まれた。
制作は、まず歌詞とグルーヴから始まった。
場面に合わせてコードをつけ、父が見た世界を想像しながら作り進めるうちに、
言葉よりも“音そのもの”が語り始め、
最終的に 2本のフルートのためのアンサンブル曲 へと育っていった。
航空機のビーコンは、第二次世界大戦から現在まで、空から人間の営みを見続けてきた光。
曲中で鳴り続けるビーコンは、父の航跡と、尊厳を守り続ける人々への祈りを象徴している。
光と影が点滅し、
2本のフルートが空間にふわりと浮かぶように交差する。
父が見た世界と、今を生きる人々への想いを重ねた一曲。
東京生まれ、現在広島在住(5月迄兵庫県宝塚市に在住) アン・スクール・オブ・コンテンポラリー・ミュージック ドラム科卒業後、東京でプロダクション所属ドラマーとして活動。その後ITエンジニアとしてのキャリアを経て、現在はフリーのクリエイター/エンジニアとして音楽制作・サウンドデザインを行っています。 リズムの身体性と、エンジニアとしての構築力を土台に、 社会の片隅に落ちている“違和感”や“矛盾”を音として再構築するボカロクリエイター。 ニュースの行間、SNSのざわめき、日常の小さな倫理の揺らぎ。 そうした“社会のノイズ”をユーモラスに、時に痛みを伴いながら音へ変換し、 「笑えるのに、静かに胸に残る哀しみ」という質感を目指して制作しています。 ジャンルやツールに縛られず、音の質感そのものが語り、 聴く人が自分の中の問いと向き合えるような作品づくりを大切にしています。
IKUKO Piccolo Flute Studio