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「歳月が静かに過ぎ去り、大切な記憶やかつての自分たちの姿が薄れゆくことへの切なさと、それでも胸の奥に残る温かい確信」を、優美な室内楽(Chamber strings)の響きと、アーシーなインディ・ロックの骨組みでエモーショナルに描き出した、BPM75の緩やかに高揚する(Rising hopeful tension)極めて内省的で不敵なアート・トラックです。楽曲の核を形成するのは、静けさのなかで淡々と刻まれる「ノスタルジックなアコースティック・ピアノのリフレイン(acoustic piano repetition motif)」。そこへ、完璧なデジタルクォンタイズを放棄した、手数の柔らかい生々しいドラム(unquantized soft-snare live drum loop)と、重低音を優しく補強するチェロのベースライン(cello bass doubling line)が合流し、映画的な派手さを排した、小さくも奥行きのある開かれた引き算の空間(open negative space)を演出します。
最大の特徴は、ハリウッド映画のサントラのような過剰なオーケストラや、スタジオの完璧主義(オートチューン)を徹底的に拒絶したその実存感。ボーカルはマイクからわずか2cmの超至近距離で捉えられた、ピッチ補正なしの男性リード。ヴァースでは耳元でボソボソと言い訳のように呟く平熱の会話的メロディでまくし立て、喉の擦れ(natural rasp and throat friction)をそのまま未編集で残しますが、サビ(コーラス)に突入した瞬間、それまで狭かったステレオ幅が左右140%のパノラマ(Coldplay emotional openness style)へと劇的に全開放され、初期のOasisを思わせる群衆の調律のズレた剥き出しの大合唱(massive unpolished crowd-style unison chant)へと雪崩れ込み、圧倒的なカタルシスを爆発させます。中盤のブリッジでは、何の前触れもなくすべての弦楽器とドラムが完全消滅し、ピアノの単音リフレインと「素の声」だけになる無警告の引き算(piano-only bridge collapse)を敢行。聴き手が息を呑んだ直後、再びマイナス12 {LUFS}というダイナミクスを最優先したマスタリングのリミッター ceiling の中で爆音の壁が戻ってくる展開は圧巻です。最後はフェードアウトに逃げることなく、言葉の途中でリミッターがゲートを閉じるように遮断され、1ミリの余韻も残さずスパッと完全な真空の静寂へと着地する、世界の愛おしい不完全さを祝福する大傑作トラックです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。