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「すべてのルールを無視し、行くべきではない場所へ行き、準備なしの演説で賞状をもらう――技術的には完全に失敗しているはずなのに、なぜか人生のすべてが美しく好転していく圧倒的な無駄の肯定感」を、90年代後半の英国産ビッグ・ビート(Big Beat)のジャンクな質感と、真夜中の冷徹なエレクトロ・ファンク(Disco Punk)のグリッドに叩き込んだ、BPM118の気怠いブレイクビーツ(Breakbeat swing)です。楽曲を不穏に牽引するのは、完璧なクォンタイズをあえて嘲笑うかのように、12ミリ秒のレイト・ポケットで重低音をうねらせる「過激に歪んだアシッド・ベースライン(dirty bassline momentum)」。そこに、ハウス(House)やトリップ・ホップ(Trip Hop)の陰鬱な残響を孕んだ乾いたドラム・ループと、16分音符単位で執拗にチョップされる「ストレンジな音声サンプルの明滅(strange phrase loops)」が合流し、クラブの閉鎖的な熱気と午前2時の都市の孤独を同時に爆発させます。
最大の特徴は、スタジアム・ロック的な大歓声や、男臭いパンクの攻撃性を徹底的に排除した、どこまでも冷徹で自虐的な「アンチ・スタジアム(anti stadium intimacy)」の距離感。ボーカルはマイクの振動板に唇が触れる至近距離で捉えられた、不眠症(sleep-deprived delivery)特有のけだるい男性のハーフ・スポークン。サビ(コーラス)では、意味を持たないナンセンスなフレーズをミニマルに反復(repetition addiction)させることで、聴き手の脳内へ強烈な催眠効果を敢行。中盤のブレイクダウンでは、お約束のドラマティックなビルドアップを完全にコメディ的に裏切り、一瞬の真空ののちに間抜けな電子音(bwuh)を1発だけ鳴らして即座に爆音のグルーヴを復帰させるなど、作為的な「エモさ」を徹底的にパロディ化します。最後はフェードアウトに逃げることなく、独白の途中でリミッターがゲートを閉じるように遮断。残響を1ミリも残さずスパッと完全な真空の静寂へと着地する、世界の愛おしい不完全さを祝福する大傑作エレクトロ・ポップです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。