

人魚姫を閉じる
静かな音
紙の波間に沈む
利他的な恋
やさしさばかりが
削られていく
はかなさという名の
透明な刃
誰かのために
泡になる物語
それを美しいと
言えるほど
わたし純粋じゃない
利他的恋愛
その儚さに
苛立ちを隠せない夜
愛されるより
消えることを選ぶ
その構図が
まぶしすぎて
膨らんだ布団
沈まない重さ
厚化粧の朝
塗り重ねた光
美しい服
ほどけない髪
白い躰の
無音
髪を撫でてよ
Don’t disappear for love
Don’t turn into foam
守られるための
完成形
Pretty sacrifice
Beautiful lie
傷つかないための
装飾
I’m not your saint
I’m still alive
人魚姫を閉じて
ページの端に
指を置いたまま
利他的恋愛
その儚さに
少しだけ
怒っている
髪を撫でてよ、髪を撫でてよ!
- 作詞者
灰野薊乃
- 作曲者
澄, 灰野薊乃
- プロデューサー
灰野薊乃
- マスタリングエンジニア
澄
- ボーカル
灰野薊乃
- ソングライター
灰野薊乃, 澄
- パーカッション
澄

澄 の“mermaid (feat. 灰野薊乃)”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- ⚫︎
mermaid (feat. 灰野薊乃)
澄
この歌詞は、「自己犠牲を美しいものとして語る物語」への違和感を、かなり鋭く言語化しています。人魚姫はここで純愛の象徴ではなく、愛のために自分を削り、ついには消えていく構図のメタファーです。話者はそれをただ否定するのでなく、「まぶしすぎて」「少しだけ怒っている」と揺れながら見つめている。この揺れが良いです。後半の「膨らんだ布団」「厚化粧の朝」「ほどけない髪」は、現実の身体感覚を持ち込み、観念だったテーマを急に生活へ引きずり下ろす。だから最後の「髪を撫でてよ」は甘えではなく、生きてここにいる身体から出た切実な要求になる。理想化された犠牲より、傷つきながらも消えない生の側に立とうとする歌です。
アーティスト情報
澄
澄(すみ・Sumi)は、2026年4月から音楽活動を始めた日本のシンガーソングライター。自作の詞と曲で、一貫して「うつろうもの」を描き続けている。 作家性の核は、「平易な日常語で、精密な言葉選びと構造的驚きにより感情的深度を実現する」こと。特別な語を使わず、誰もが知る言葉で書きながら、その配置と構造によって深い余韻を残す。「うら」「きのうとかあした」「ふわり」「ひらひら」等、擬態語や古語を現代語に溶かし込む独自の言語指紋を持つ。 2026年4月にファーストシングル「風」、同月に「petrichor」「microbit」をリリース。5月から6月にかけて「butterfly」「ブーケ」「maria age」の4連打、続いて「ペトリコール」「想」「comet」「夏」の第2章を週次リリースで展開予定。各曲が単体で完結しながら、4曲で一つの物語弧を描く連作構造を採用している。 音楽的にはジャンルに固執せず、電子音楽からアコースティック弾き語り、世界音楽的な試みまでを自由に横断する。だが根底には一貫して、うつろいと静けさを巡る美学がある。J-POPの多弁さに対するアンチテーゼとして、「余白」を主要素として設計している。 リリース直後から海外リスナーにも届き始めており、TikTok等SNS経由で日本語話者以外の聴き手にも自然拡散が生まれている。 「表裏なく、うつろう」——澄の楽曲は、多くを語らないことで、多くを届けようとしている。
澄の他のリリース
灰野薊乃



