幾度も跨いだ夏をひとり
ただあなたを思い出すこと
それだけのために今日も疾うに
枯れ果てた日々を遠く往こう
昼下がり、校舎裏、夏の匂い
徒花と朽ちた春の死骸
遠ざかるあなたが見えなくなり
伽藍堂の胸に抱く花もない
あの茹だる夏の日差しを背に
意味もなくふたり歩いたあの日
それだけで私は良かったのに
あなたは何も言わずひとり
八月を待たず泡沫の様に
あえなく消えてにべもない
せめて往く道に光を祈り
淡い空、途方に暮れるばかり
あの丘から眺むる海原
鼻歌、青草の匂い
歌にしたい様な
思想、感情もなく
風任せに踊る
「さよなら」のひとつが
穿った胸の虚に縋り
夏の狭間で今も
惟みるはあなたひとり
抗いようもなく
鯨波の波間に惑う
幾度も歩いた白浜にひとり
どうしたって零れ落ちる記憶
継ぎ接ぎだらけの無様な愛
無意味と憐れまれようとも
風さやぐ丘の上、あの日から
あなただけを描いている
ひとつまたひとつ
亡くし続けた果て
虚空の巣食った胸
「さよなら」のひとつが
穿った胸の虚に縋り
夏の狭間で今も
惟みるはあなたひとり
抗いようもなく
時の波間に惑う
あの夏の日の亡霊も
ひとつ転がった空蝉も
「空だって飛べる」と息巻いて
消えていった影の憧憬も
結局あなたには届かずに
これで本当にさよならだ
この歌ひとつ
私はそれだけできっともう大丈夫
- Lyricist
noale
- Composer
noale
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