

神泉の部屋 揃えられた靴が片方だけ
あなたが変えた窓際の配置 私は動かせないまま
枕元から響く乾いた音を数えている
荷物を取りに来ると言った夜が 終わろうとしている
「こっちの方が光が入るから」と笑って
図面を引く手で 私の暮らしを整えた
琥珀色(アンバー)の硝子(グラス)を置く位置まで 馴染んでしまった
心地よさに染まる前に 鍵を突き返したのに
めくれて落ちる札は 指をすり抜けて
巻き戻せない夜を 冷たく刻む
私から終わりを 選んだはずなのに
あなたが置いた時計が 最後の糸を断ち切る
立ち上がり見渡す 正確に機能する空間(へや)
防音硝子の向こう側 尾灯(テールランプ)が流れる
扉(ドア)の鈴(ベル)は鳴らない 待つ理由はもう何もない
自分で選び取った 完璧な静寂(しじま)が痛い
十六号線の金網(フェンス)と 頭上を掠める乾いた爆音
帰る場所ならあるけれど あそこへはもう戻らない
誰かに決められた間取りで生きるのは やめたから
だからこの微熱(ぬくもり)も 手放すしかなかった
重なり合う札が 零時を打つ瞬間(とき)
待ち続けた約束(きょう)が 過去(きのう)へと変わる
私から終わりを 選んだはずなのに
あなたが置いた時計が 別れを定めた
家具の配置は このままでいい
私の意志で 灯りを消すわ
乾いた音だけが 部屋に響いて
もう来ないと分かっているのに 無意識に私の靴を揃え直している
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

Akemi の“零時のフリップ”を
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零時のフリップ
Akemi
「零時のフリップ」は、自ら終わりを選んだはずの関係が、本当の別れへと反転していく深夜の静寂を描いたミディアムテンポのシティポップ。
神泉の部屋、揃えられた靴、動かせない家具の配置、乾いた音を刻む時計、そして零時を打つフリップの瞬間――整えられた暮らしの中に残された他者の気配が、決意の後に訪れる痛みを静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、誰かに決められた心地よさから抜け出すために別れを選びながらも、その静けさの中で初めて喪失の輪郭を知る大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、都会の夜、部屋の空気、別れの温度差を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
待ち続けた夜が過去へと変わるその瞬間、時計はただ時を告げるだけなのに、心には決定的な反転が起こる。
完璧な静寂の痛みとともに、自分の意志で灯りを消す――そんな成熟した別れの余韻を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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