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壮大なアリーナ向けのリバーブ(arena reverb)や劇的なパワーバラックのビルドアップ、そして高域でのエモーショナルな熱唱(high belt)を徹底的に焼き尽くし、昭和歌謡的な陰りのある和声(showa-era harmonic language)を1990年代末の日本のインディーズ地下音響で解釈した、極限まで引き算された室内楽的インディー・ロックです。BPM76の微かに揺れる変速的な平熱のテンポ(rubato tempo)。イントロから全編にわたり、残響を完全に遮断した極小のモノラルセンターの超至近距離ボーカル(bone-dry mono center close-mic layout)が配置され、右チャンネルに定位した1本のピアノの単音と、曲の途中で左チャンネルから厳かに這い入るチェロ(cello entering left channel)の重低音が、逃げ場のない密室の気配を構築しています。
歌詞の核となるのは、ドラマを徹底的に拒絶した「微熱の実存」。「37.2℃という、病気でも健康でもない曖昧な平熱。ベッドに横たわり、天井のしみを数え、誰に伝えるでもない日常の空白をただ身体として受け入れている」。平仮名だけで綴られた輪郭の曖昧な言葉たちが、高域への逃げを完全に封じられたアルト音域の女性ボーカルによって淡々と紡がれます。ピッチ補正を完全に拒絶した歌い回しは、フレーズの合間の生々しい呼吸音や、言葉を呑み込むような子音の処理(swallowed consonants)を剥き出しのまま耳元に張り付かせ、最後の8小節間でのみ過激に発動する単一のダブリング(vocal doubling strictly in the final eight bars)が孤独の輪郭を引き立てます。最後は自動フェードアウトを拒絶し、言葉の途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。