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劇的なオーケストレーションやドラムによるビート(drums)、そして感情の起伏を煽るシネマティックな高揚(cinematic swell)を徹底的に焼き尽くし、東京の郊外にある静かなアパートの一室(tokyo suburban quiet aesthetic)に漂う「何事も起こらない午後の空気感」を形にした、極限まで引き算されたインディー・フォークです。BPM68の緩やかなシャッフル・グルーヴ。ジャズ特有の洗練されたコード(jazz inflections)を頑なに排除し、イントロから全編にわたり、センターに定位した1本の乾いたアコースティックギター(solo acoustic guitar center)の弾き語りと、時折ボディの木を無骨に叩く手の打音(hand strike on the wood surface)だけで、狭く乾いた密室の音響空間を構築しています。
歌詞の核となるのは、ドラマを徹底的に拒絶した「モラトリアムのリアル」。「午後3時に郵便受けに入っていた3枚のチラシ、沸いて止まるケトルの音、手紙が来ないまま夕方に移り変わっていく退屈の肯定」。平仮名だけで綴られた輪郭のあいまいで不安定な言葉たちが、ミドルディスタンス(female vocal mid-distance)で捉えられた超至近距離の女性ボーカルによって、あえて感情を交えずに淡々と紡がれます。ピッチ補正を完全に拒絶した、会話に近いウィスパー交切の歌い回しは、2番ヴァースで突如として物憂げに入り込む鍵盤ハーモニカ(melodica line)の素朴な音色と交錯。最後は自動フェードアウトを拒絶し、言葉の途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant dynamic stop)される、引き算の美学の極致を提示する大傑作です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。