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ドラムによるビート(drums)やエレクトリックギターの歪み、そして安易な感情のカタルシスをもたらす劇的なダイナミクスの高揚(dynamic escalation beyond mezzo-forte)を徹底的に焼き尽くし、1990年代末の東京の密室音響(late 1990s japanese small-room recording aesthetic)が内包していた「他者の好意という逃げ場のない重さ」を形にした、極限まで静謐なチェンバー・ポップです。BPM72の遅れを伴う平熱のテンポ。楽曲は伴奏を一切伴わない過激な8小節の完全アカペラ(strict 8-bar a cappella lead vocal intro)で幕を開け、その後も右手だけのピアノ単音(sparse piano playing right hand only)と、時折リズムの底を打つダブルベースのピチカート(double bass pizzicato)だけで、引き算の極致のような音響空間を維持しています。
歌詞の核となるのは、日常に生じた「不器用な停滞」。「手渡されたやさしさの置き場所が見つからず、捨てることも使うこともできずに、引き出しの奥へと仕舞い込む平熱の独白」。平仮名だけで綴られた不安定な言葉たちが、高域への逃げを完全に封じられたアルト音域の超至近距離センターボーカル(alto range with zero upper register access)によって淡々と紡がれます。ピッチ補正を完全に拒絶した歌い回しは、フレーズの合間の生々しい呼吸音をあえて残し、最後は自動フェードアウトを拒絶して、未解決のコードの残響が伸びる途中でプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致を提示する大傑作です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。