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90年代から東京のクラブシーンで活動を続け、現在ではPART2STYLEの一員として楽曲プロデュースにDJと精力に動き続けているMaL。彼の長い音楽人生で初のソロ作品となる本作は、パーソナルな一面が写し込まれたメロウで穏やかなダブが展開されている。PART2STYLEの彼を知るリスナーからは驚きを持って迎えられることだろう。
2021年6月、MaLは全治9か月の大怪我を負い、80日間もの入院を余儀なくされた。本作はその際に制作された楽曲で構成されている。MaLにとっては重低音鳴り響くクラブこそが日常だったが、そこから切り離された穏やかな日々のなかで「ダブをキーワードにした日常のサウンドトラック」というテーマが浮かび上がってきたのだという。
アンビエント~チルアウト的なムードをまとった楽曲群は、かつてMaLが横たわっていた病室だけでなく、私たちの日常にもじんわりと溶け合う。深く沈み込むようなベースラインはMaLならではだが、そうした重低音もまた、聴くものの心を鎮めてくれるはずだ。本作は「日常のサウンドトラック」であると同時に、独特の治癒効果を持っている。おそらくそれは多くの楽曲が病室で制作されたことと無縁ではない。
味わい深いジャケットを手がけるのはBEST MATCH CORNER。また、本作はMaLの地元である高田馬場の音楽居酒屋「KUSUDAMA」が主宰するレーベル、HOODISH RECORDINGSからの第一弾作品となる。その意味で本作はMaLの日常と地続きになったローカルミュージック集ともいえるのかもしれない。『Primal(第一の、最初の、原始の、主要な、根本の)Dub』というタイトルの意味を噛み締めながらじっくり味わいたい。
(大石始/ライター)
[MaL] 日本を代表するベースミュージック・クルー、PART2STYLEのTrack Maker、DJ。 国内最大のベース・ミュージック・フェス【OUTLOOK FESTIVAL JAPAN】のレジデントであり、クロアチアで行われている同フェス本祭にも9年連続出演。 世界各国、数々のパーティーやフェスティバルでプレイし、世界中のベース・ミュージックファンやトップ・プレイヤー達から高い評価を受けている。 国内外のアーティストへの楽曲提供、Remix、CM楽曲制作など数多くこなしつつ、DJとしてもBIG FloorからChillin’なプレイまで幅広い。出音も体格もヘビーウエイト。 J.A.K.A.M.とMACKA-CHINとのプロデューサーユニット「ZEN RYDAZ」としても活動し、話題を集めている。
Hoodish Recordings