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古に恋ふらむ鳥はほととぎすけだしや鳴きし我(あ)がおもへるごと
万葉集 巻二 一一二 額田王
(現代語訳:昔のことを恋い慕っている鳥はほととぎす、その鳥がおそらく鳴いたのでしょう、私が昔を恋い慕っているように。)
もともと歌曲のために作られた作品をピアノソロで演奏したものである。本作はメゾ・ソプラノ重松みか氏のために書き下ろした。政権の中枢で凛と歌を詠みあげる額田王をイメージし、荘重で厳かな曲調。半生を振り返る彼女の脳裏には、先の「壬申の乱」で敗れた人々がよぎったであろう。この曲はいわば過ぎ去りし時へのレクイエムである。
次郎丸智希 作曲家・ピアニスト・朗読家。福岡出身。大阪大学文学部卒(音楽学)、同大学院修了(ドイツ文学)、神戸大学大学院人間発達環境学研究科・博士課程修了(人間表現専攻)博士(学術)。第17回万葉の歌音楽祭・大賞、第28回TIAA全日本作曲家コンクール(重唱・合唱の部)第1位受賞。文学と音楽両面からアプローチする独自の作風で多くの作品を発表。現在、フェリス女学院大学・グローバル教養学部・文化表現学科・音楽身体表現専攻・准教授、お茶の水女子大学講師。主な作品に、独唱・重唱・合唱のための《百人一首によるうた》《万葉名歌集》、カンタータ《まかる空~竹取物語より~》、ピアノ4手連弾のための《MUSEUM》他多数。研究論文『武満徹作品における音楽語法の変遷―SEAモティーフを中心に―』、『武満徹作品における引用~《夢の引用―Say sea, take me!―》を中心に~』『歌曲の実践と文芸』『武満徹の音楽語法「SEAモティーフ」の萌芽と生成 ~《鳥は星形の庭に降りる(1977)》と《遠い呼び声の彼方へ!(1980)》の比較を通して~』