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絢爛豪華なアリーナ・プロダクション(arena production)や、これ見よがしな速弾きソロ(guitar hero solos)、そして冷たく調教された完璧なボーカルレイヤー(vocal stacks)を徹底的に焼き尽くした、生身の血液とオイルの匂いがハジける剥き出しの2ピース・ガレージロックです。The White Stripesが提示したあの極限の引き算(White Stripes minimalism)をベースに、BPM124の「 primitiveな地鳴りを上げる cavemanドラム(caveman drums)」と、内臓を直接震わせる単音のファズベース・リフ(bass riff)のなかで、音が鳴っていない瞬間にこそ不穏な殺気が宿る「危険な空白(dangerous empty space)」を描き出しています。
歌詞の核となるのは、バタフライ効果(butterfly effect)が引き起こす世界規模のコメディ。「みんなにバレたからパスワードを変更した。すると月曜日に橋が封鎖され、木曜日に変えたら人工衛星が3基だけ左にズレた。セキュリティの指示通りに大文字を足せばオスロの上空で鳥の群れが急旋回し、数字を足せばリヨンの列車が11年ぶりに4分早く駅に着く。パスワードという矮小な文字列の変更が、論理的な因果関係(logical cause and effect)を無視して地球規模の災害をドミノ倒しにしていく実存のバグ。最後にシステムが問いかける『本当に変更しますか?』の画面の前で、男は世界の破滅を食い止めるために静かにキャンセルをクリックする。『どういたしまして、オスロ』」。この壮大な不条理とエスカレートするカオス(escalating absurdity)を、まるで今日の天気を語るかのような平熱の会話調の態度(conversational attitude)で処理する佇まいが最高にクールです。
最大の快楽は、スタジオのデジタルクオンタイズを冷酷に拒絶した、ヨレや手触りをそのまま残した未編集のアナログサチュレーション(analog saturation)。マイクの振動板に唇が圧着する2cmの超至近距離で捉えられた男性リードボーカル(gritty magnetic male vocal lead)は、サビ(コーラス)に突入した瞬間にステレオ幅が左右140%のパノラマへと全開放され、剥き出しの地声の叫び(unpolished chest shout)へと感情を決壊させます。
中盤の「Breakdown — THE DECISION」では、すべての狂暴なリフと打楽器が「完全無警告」で突如消失し、1小節分の完全なるフェダー無音(1 bar absolute fader silence gap)の過激な引き算を敢行。オスロやリヨンに思いを馳せる不気味な静寂(longer pause)を経て、最終サビへのノーモーションの再点火へと雪崩れ込みます。最後は、心地よいコード解決(resolved ending)に逃げることなく、「PASSWORD-OH」という呪文のまさに途中でリミッターがゲートをプツンと遮断。残響を1ミリも残さずスパッと完全な真空の静寂(instant cutoff)へと着地する、引き算の美学の最高峰です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。