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Lyric

Clothes hanger

WAKABA

俺の働くリユースショップには毎日

色んなお客さんが服を求めやってくる

一概に服と言ってもそこに至る経緯や

購入する目的は人によって様々

ある日中年の女性が入店して来て

ノースフェイスのリュック無いか

店を眺め聞いてくる

この歳でノースフェイスなんてお洒落なんだな

そう思う俺をよそに女性は話し始めた

「高校入学して洒落っ気ずいちゃってね

友達がお洒落で羨ましいらしいのよ」

「お金は気にしないで良いから

かっこいいやつで何か良いの無いかな?

お兄さんに任せるわ」

よっしゃ、こうなったら腕の見せ所だ

この店で1番かっこいい

ノースフェイスを見せよう

高校生子供すぎず大人すぎず尚且つ

部活とかに持って行っても変じゃ無いやつ

服屋での行動はその人の性格人間性

はたまたは個性までが出る

嘘と思うかもしれないがメンズのズボンを

レディースのワンピースに戻す人もいる

自分の着た服だし戻してくれりゃ良いのに

好意持ってデートしたら

すぐに飽きるタイプかい

そんな事を思いながら仕事を続ける

お洒落って着てるだけじゃダメらしいわ

商品を眺めながら戯れ合うカップル

買えるはず無い商品を試着する少年

セール品を持ちながら交渉するおっちゃん

「あんたには似合わない」と揉める夫婦

そのどれもに一貫して言える事は

単に新しい服を買う為だけではなくて

その人との時間や思いを布に

さりげなく込めては縫い合わせる

天井に吊るしてある商品を指して

「ちょっと見せてもらえる?」と年配の男性

「うちのが最近安いのしか着てなくてね

これくらい暖かい方が良いと思うのよ」

マスクをしていたとしても目元から伝わる

優しさに混じった照れ笑い

その男性は2つの商品を購入

30000円のアウターと500円のコート

リユースって言葉は直訳で再使用

でもそこにある思いは新品だ

古着であるからボタンが欠けていたり

糸がほつれていたりする事もしばしばあるが

それは不良品としての印では無くて

「これだけ着ましたよ」のラブレターだ

見知らぬ人から見知らぬ人へ

思いは意図せず繋がれる

閉店間際にやってきた1人の女性が

息を切らせながらショーケースを見ている

「何かお探しですか?」と声をかけると

「今日掃除していたら指輪落としちゃって」

大切な物なんだけどどこにも無くてね

せめて似たものでも見つからないかなと思って

店員の毎日の業務の一環は

お客さんの大切な日だったりする

慌ただしい1日もようやく終わって

閉店作業をしているとレジに高校生

友達と話す姿部活終わりか

リュックのノースフェイスには見覚え

少しだけ汚れた背にかかるリュック

誰かと良く似ている真っ直ぐな瞳

貰った時だけじゃなく与えた時にも

言える言葉「有難うございました」

  • Lyricist

    EITO

  • Composer

    HIRATE MARINO

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