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古びたカフェの隅で、老婦人が一杯のコーヒーを前に静かに腰を下ろしていた。
若いころ、貧しさと不安の狭間で、夫婦に許された小さな贅沢は、この店のコーヒーだけだった。
やがて二人は苦労の末、運命に背中を押され、大きな成功を手にする。
忙しさに追われ、この店からもしばらく遠ざかった。
不器用で誠実で、やさしかった亡き夫は、湯気の立つカップの向こうに変わらぬ姿でいる。
ひと口ごとに、時間はやわらかくほどけ、離れていた年月さえ、温度を持って胸に戻ってきた。