

高島平の 西日のベランダ
団扇をひとつ しならせて あおぐ
縁側があった 家の夏には
「姉さん」の声と 低い飛行機
麦茶のコップに 汗が伝う
「風がないな」と 遠い横顔
さっきまで二つ 交わした風が
ぱたりと止んで 蝉だけになる
送れば届くと 紙をしならせ
あなたの襟へ 風を投げる
けれど届くのは 私の首
あおぐほど遠い 夕凪の熱
あなたは自分の うなじをあおぐ
風の分け目が 二つに割れる
二人の間の 十センチほど
影だけ伸びて 西日が落ちる
しなりの浅さは 腕が知ってる
先に手を放す ほうが早くて
痺れた手首を 膝に下ろして
送らない側へ 私は回る
止めれば凪ぐと 柄を横にする
あなたの襟には もう向けない
手すりの外に 夜が降りて
蝉が遠くで 拍子を落とす
この風は今 自分の首へ
団扇をそっと 膝に伏せる
あおぎ合った夏を たたんだあとで
動かない団扇に 蝉の声だけ
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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団扇の夕凪
Akemi
「団扇の夕凪」は、扇ぎ合っていた風が止む夏の夕方に、風の向きを自分で決め直すまでを描いたミディアムテンポのシティポップ。
高島平の西日のベランダ、汗をかく麦茶のコップ、「風がないな」と呟く遠い横顔、そして二つに割れる風の分け目――交わしていた風がぱたりと止む夕凪の時刻が、二人の間の距離を静かに映し出す。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、こっちを向いてと乞う代わりに、送るのをやめて風の向きを自分で決める大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、団地のベランダ、夏の夕暮れ、蝉の残る空気を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
あなたの襟にはもう向けず、この風は自分の首へ。
あおぎ合った夏をたたんだあと、団扇をそっと膝に伏せる――そんな夕凪の決め方を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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