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BPM88(Abメジャー)の歩行速度で展開する、極めて内省的なミニマリスト・オルタナティヴ・インディーポップです。本作の最も大きな特徴は、疲労による足取りの変化を模した「グルーヴの漸進的な緩み(プログレッシブ・ルーズニング)」にあります。前半のタイトな2%の機械的スウィングから、2分を過ぎたあたりで人間味のある loose な7%のスウィングへと移行し、最終的にはキックとベースのタイミングが10ms(ミリ秒)ほど絶妙にズレていくという、肉体的な疲弊を音楽のテクスチャーへと昇華させた実験的かつリアルなアプローチが取られています。
ボーカルは、マイクの至近距離で録音された、低音の効いた親密な男性テナー。深夜の最終列車を降り、間違えて左右逆に履いた靴の違和感すらどうでもよくなるほどの「心地よい疲弊(Optimistic exhaustion)」を、平熱の語り口で表現しています。遠くの交通量や風の音といった都市の環境音が左右に広く配置され、楽曲の進行とともにダイナミック・レンジが-16から-12 LUFSへとシームレスに変化していくビルドアップが、感情の起伏ではなく「身体の重み」として伝わります。派手なポップスの装飾をすべて削ぎ落とし、最後は安堵に満ちた長い深い吐息とともに、温かみのあるAbメジャーの残響が静かに消えゆく、極上のローファイ・スロウコアです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。