僕らの夜 奪ったのはスクリーン
ひとりにしてくれよ
今夜の雨 打ち付けるパンクビート
しずかにしてくれよ
間違いだ 土砂降りの毎日
何にもなれちゃいない
今日もまだ晴れ間を見ない日々
言い逃れしたいなあ
働けども 働けども 変わらない
ありがちな 流れに任せてる
好きなように 泳ぎたい僕らは
怠けながら夢を見ている
溶けたくない 混ざりたくない
それだけなのに
濁ってたっていいや
濁ってたっていいや
濁った方がいいや
綺麗事埋め合わせの履歴書
それが君の未来のチケット
あてなんて誰だって知らない
その船旅にコンパスは要らない
雨風荒れたって
帆だって張ってないんだって
結局 たしかなものはない
色とりどりでもなく濁りが
ひとりひとりの
気持ちのグラデーション
揺れ動くから美しいんでしょ
ひとつにしたがってくるあいつも
ひとつになれず揺蕩う迷子
泳いだようで
流されてきたような人生さ
どっちだっていいじゃんそんなの
溺れなけりゃいいその逃避行
答えはどこにもない
最後は自分次第
そうやって 追いこまれて
見失った光
まとめないで
まだ曖昧でいたい
濁ってたっていいや
濁ってたっていいや
濁った方がいいや
僕らの朝 電池切れたスクリーン
ひとりで迎えるよ
昨日の雨 川になって溢れる
それが始まり
間違いも 土砂降りならマシさ
何もないより
今日もまだ 晴れ間を見ない日々
いつか海になればいい
- 作詞
YAMORI
- 作曲
YAMORI
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ストリーミング / ダウンロード
海→内省とゆるし
自分の海に対するイメージは、楽しいだとか、爽やかだとか、そういうものじゃない。どちらかというと少しシリアスで、測りきれない大きさからくる怖さと頼もしさみたいなものがある。
だから、遊ぶことよりも、静かに眺めていることが多い。大きくて測り知れないものを目の前にすると、自分を少し遠くから眺めている気分になる。時間と空間が少しゆったりし始める。銭湯にいる時と少し似ていて、非日常から日常を省みている感じ。
そうして、自分との静かな対話が始まる。鏡の中の自分を見ているのとは少し違う、どこか鳥瞰的な対話。
最近の悩みや迷い、なんだかわからないけどモヤつく感情の正体、じぶんさえ気付けていない綻びや、背負えてるつもりで背負えていなかったもの。それに気づき始める。それらが解決するわけじゃないけれど、海が持つシリアスな怖さや頼もしさは、そういった感情を炙り出して、受け止めて、流してくれる。ゆるせなかったことが、ゆるせるようになる。自分にとって海は、迷いや悩み、言葉にならない感情をゆるすきっかけになる場所。
ゆるすという言葉にはいろんな意味があるけど、その語源は縄などを「緩める」というところから来ている。解決したり、答え合わせすることとは少し違う。でも現状からどこか違う方向へ進んでいくには必要なプロセスだと思う。
このEPでは、自分が海を見て自分自身や世界へのまなざしを「緩める」ように、この音や言葉を聴いた人が悩みや迷い、言葉にならない感情をどこか鳥瞰的に見つめて、最後にはゆるせるようになればいいと思う。
膿→じぶんへのゆるし
膿は傷口から出てくる。人間の、生々しくて汚い部分。隠したくなるし、自分でも直視するのが憚られる。
でも、膿は闘い終わった白血球や細胞、細菌などが固まったもの。闘いの証でもある。医学的には取り除かなくちゃいけないものらしいけど、心の膿...人間の弱く脆い部分、直視できない部分はそ
う簡単に取り除けない。むしろ取り除くというよりは、そのプロセスや傷口ごとゆるせるようになることで、膿んだ状態から抜け出せるのかもしれない。そしてゆるすためには、どのようなプロセスであれ、まずは膿を直視しなくてはならない。見て見ぬふりをしてきた膿、自分さえ気付けていない膿を炙り出して、どんな傷でどんな闘いをしたのか、確かめていく。どんなプロセスでゆるして、答え合わせをしていくかはその人次第。
生→あらがいようのない変化へのゆるし
人は変わらないものがあると安心する。きっとその変わらないものとの繋がりを、たしかめたり、探ったりする必要がないから。そういう繋がりは安らぐから。でも実際は、海も山も、人の心と身体も、人と人の関係も、毎秒微粒子単位で変わり続けている。生まれ変わり続けている。変わらないと思い込んでいるものほど、それが変わってしまった時の綻びは大きい。当たり前にあったものや、拠り所にしていた自分らしさや世界のルール、ずっと一緒にいると思っていた友人や恋人は、それぞれが流れながら揺れ動く"生もの"。だから食い違うし、すれ違う。あらがうことはできない。
だから、その綻びやすれ違いも、ゆるしながら生きていくしかないと思う。諦めに近い、ゆるし。ただ、あらがいながら苦しみ続けるのではなく、変化をゆるして、その儚さに何かを見出すことができたら、少しでも救われるんじゃ無いかと思う。
アーティスト情報
YAMORI
■神奈川県横浜市出⾝。 柔らかくも芯のある独特な声と、⾃⾝のルーツであるビートボックスをナチュラルに楽曲に落とし 込み歌い上げる、"ヒューマンビートシンガー"。 ビートボックスでは世界⼤会Grand Beatbox Battleにてタッグ部⾨1位で予選通過、ソロ部⾨では ⽇本⼈唯⼀の⼀次予選通過という成績を残し、また国内⼤会でも数多くの好成績を残すなど、その 実⼒は国内外から⾼く評価されている。10⽉での世界⼤会では、優勝候補としても、注⽬を集めて いる。 2021年に1stシングル「タマムシイロ」をリリースしシンガーソングライターとしての活動をス タート。RUNG HYANGや向井太⼀とのコラボを経て、2023年5⽉に1st EP「ヒューマン」をリ リースした。聴き⼿の⽣活に寄り添う絶妙な余⽩を残したリリックと、⾃⾝のサウンドプロデュー スによる⾃由な⾳楽で、ポップながらも⼀筋縄ではいかない楽曲を⽣み出している。 2023年8⽉19⽇のYAMORI初のワンマンライブ「YAMORI SONIC」は即完売をし、ヒューマン ビートシンガーとして話題を呼んでいる。
YAMORIの他のリリース
Rure records