

ページの端で
善と悪が 名を持たぬまま
息をひそめている
正しさはいつも
きれいな言葉を選ぶ
疑いを削ぎ落とし
刃だけを磨いて
祝福の声に包まれて
誰かが落ちていく
その瞬間
拍手は一段と揃う
裁くためじゃない
秩序を保つためだと
目を伏せたまま
この上ないサタン
最も善い顔をした敵対者
光の中心で
影を量る者
この上ないサタン
名を呼ばれぬ正義の代行者
救いの数だけ
罪が増えていく
黄金時代は いつも過去
語られるたび
都合よく
静かに磨かれて
持続の名の下
捨てられる呼吸
砂の上に
また塔が建つ
誰かを守るため
誰かを越える
その選別を 愛と呼ぶのなら
この上ないサタン
敵と決めた瞬間に
物語は
一つに収束する
この上ないサタン
わざわいの星の下で
静かに
帳尻を合わせる者
永遠の罰も
永遠の祝福も
慣れてしまえば
同じ温度だ
善と悪の
境界線に
名前を付けた
ただそれだけのこと
この上ないサタン
裁く神の足元で
今日も 秤を持つ影
この上ないサタン
嫌われる役を引き受けた
世界が
回り続けるために
正義は今日も
無傷で眠る
夢の番をするのは
この上ないサタン
- 作詞者
Kneeking Records
- 作曲者
Kneeking Records
- プロデューサー
Kneeking Records
- プログラミング
Kneeking Records

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この上ないサタン ~ さた この ~
Kneeking Records
『この上ないサタン』は、
広辞苑第七版の〈辞書の旅〉において
「サタン」から「この上ない」までの語釈と、
そこから生まれた思索をもとに制作された楽曲である。
言葉の定義、語源、用例を辿るうちに浮かび上がったのは、
善と悪、正義と裁き、その境界の曖昧さだった。
サタンとは、単なる悪の象徴ではなく、
「正しさ」が成立するために必要とされてきた
構造そのものではないか――
その問いが、この曲の中心にある。
誰かを救うために、誰かを切り捨てること。
秩序を守る名の下に、呼吸が削られていくこと。
美しい言葉で装われた判断の影に、
いつも静かに立っている存在。
本作は、サタンを糾弾しない。
同時に、正義を肯定もしない。
広辞苑という「最も中立的な言葉の集積」を起点に、
人間が作り続けてきた価値判断の輪郭を、
静かな音像で描き出す。
裁かれる者ではなく、
裁きを成立させる役を引き受けた存在――
それが、この曲における
「この上ないサタン」である。
アーティスト情報
Kneeking Records
Kneeking Records(ニーキング レコーズ)は、「辞書の旅」を音楽で表現する独立系レーベルです。 設立者は、書道家であり、辞書の旅人であり、元キックボクシング世界王者でもある佐藤嘉洋(さとう よしひろ)。 2013年より国語辞典を一頁ずつ読み、書き、呟き続け、2025年それらをもとに音楽を生成するように。 日々の辞書の旅は、日々新たな言葉の発見とともに、その記録は今もなお積み重ねられています。 ジャンルは、Reggae、J‑POP、R&B、Soul、House、Gospel、Funk、Ska、時にはPunk Rockまで多岐にわたり、 “耳心地のよいサウンド”を追求しながら、言葉のリズム、書と声の交差する独自の感性で音楽を発信しています。
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