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安易な感情の高揚をもたらすシンセサイザー(no synthesizer)や劇的なコード解決、あるいは過度な音圧ビルドアップを徹底的に焼き尽くし、ポストパンク的な抑制の骨組み(post-punk restraint skeleton)のなかに「関係性が終わる瞬間の平熱の実存」を形にしたヘビー・チェンバーインディーポップです。BPM78の頑なな4/4拍子。イントロから全編にわたり、音と音の間に広大な余白を内包したピアノの単音旋律(piano single-note melody)と、通常の半分のペースで爪弾かれるアコースティックギターのコードが、徹底的なネガティブ・スペース(負の空白)を構築。ベースラインが旋律的に和声情報を補い、カセットテープ特有の温かく僅かに篭った密室音響(well-recorded cassette tape aesthetics)を際立たせています。
歌詞の核となるのは、センチメンタリズムを力でねじ伏せるフラットな現実主義。「別れの言葉を聞きながら、なぜか君の少し下がった左肩ばかりを見つめていた記憶。最後の日とは、それが起きている最中には他の日常と全く同じ姿をしているという冷徹な諦念」。あえて地声の会話ピッチから3度上げた音域(register raised by a third)に設定されたボーカルは、ビブラートや余計な装飾を完全に拒絶。サビ(コーラス)でのみインするマイナーキーの弦楽四重奏(light string quartet)が、構造の境界線を前に不意に途切れる過激な引き算を経て、最後は言葉の途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される大傑作です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。