歌詞

朝いちから通知がどどどど鳴って

バグったみたいに予定表が光る

「ちょっとだけ相談いい？」が

ぜんぶ地雷なの知ってる

コンビニコーヒーこぼしてシャツ終わって

ため息すすすと床まで落ちる

タイムラインはきらきらのまま

こっちだけ既読スルーで固まる

心の中でののののって

連打してるのに表情は「大丈夫」

笑顔のスクショ貼りつけたみたいな

顔だけ前に出されていく

約束ひとつ守れないだけで

世界の端っこまで追い詰められるみたいで

エレベーターの鏡の中

ちょっとだけ泣きそうな目をそらす

「いけるよね？」って軽く言うな

こっちはもうバッテリー赤ゲージ

胸の中で警報がんがん鳴ってるのに

口から出るのは「うん、たぶん」

Absolutely not!

無理 無理 絶対 無理

そんな余裕な顔して言えるほど

わたし器用じゃない

Absolutely not!

心拍ばくばくうるさい

ねぇ これ以上は抱えきれないって

からだが先に叫んでる

「すぐ終わるから」とか言うタスクほど

終わらないって統計出てるでしょ

エクセルのセルがぎゅうぎゅう詰めで

思考まで圧縮されていく

したくない会話のチャットだけ

ぴこんぴこん音量マックスで鳴る

返事を打つ指はかたかた震えて

本音だけは全部 delete

エスカレーター逆走してるみたいに

一段登るたび後ろへ下がる

やればやるほど「まだ足りないね」って

評価だけナイフみたいに刺さる

頭のどこかでかかかかって

壊れたタイマーが空回りしてる

それでも締切だけは

びしびし正確に迫ってくる

「みんなやってるから」って盾を出すな

その「みんな」にわたし入ってない

心の余白ぎりぎり削り取ってまで

合わせる義務なんてないでしょ

Absolutely not!

無理 無理 絶対 無理

「がんばればできるよ」って魔法

もう効かなくなってる

Absolutely not!

笑って受け流すキャパも

今日のわたしにはインストールされてない

だから これ以上は押さないで

トイレの個室で深呼吸ひとつ

換気扇の音がずずずと回る

天井のしみを数えていたら

急に全部どうでもよくなった

完璧じゃなくていいや

むしろぼろぼろで上等

うまく転べないより

派手にずっこけて笑っていたい

失敗の数だけステッカーみたいに

ノートの表紙を埋めつくして

ぐしゃぐしゃなまま抱えて帰る夜も

たぶんちゃんと生きてる証拠

Absolutely not!

無理 無理 絶対 無理

全部受け止めろなんて要求

こっちからお断り

Absolutely not!

でも ここまで来たことだけは

ちょっとだけ誇ってもいいでしょ

ぼろぼろの靴音鳴らしながら

明日もたぶん しくじっていく

それでも 歩みをゼロにはしない

「無理」と「まだいける」のあいだで

今日もずっと 揺れている