

古びた階段をあがれば
屋上に小さな郵便局
宛先のない手紙たちが
引き出しの中で眠ってる
赤いスタンプをひとつ押して
折り目を丁寧になぞったら
言えなかったひとことまで
紙の翼に変わっていく
インクの匂いが残る指で
古いポストの蓋を開ける
宛名の代わりに書いたのは
まだ見たことのない場所
風向きが変わる瞬間
たくさんの封筒が浮かび上がる
屋根のアンテナ越しに
飛行船がゆっくり通り過ぎる
消印のない絵葉書には
見覚えのない景色がある
窓辺の切手を貼り替えて
誰かの返事を待つふりをした
本当は自分の心へ
手紙を書いていたんだ
時計台が六時を告げて
街の屋根が茜色に染まる
郵便受けの奥から
折り鶴が一羽飛び出した
最後の便が出発すれば
空いた机に静寂が残る
届かなくても構わない
書いたことで少し軽くなる
消せない文字もそのままで
遠い場所へ預けてしまおう
夕暮れが紺色へ変わるころ
屋上の旗が強くはためく
積み上げた便箋の束から
白い翼が次々生まれる
手のひらを離れた願いは
もう私のものではないから
見えなくなるその時まで
行方を追わずに見送ろう
- Lyricist
Mimika
- Composer
Mimika
- Producer
Mimika
- Synthesizer
Mimika

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