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私は1989年から1996年まで静岡県浜松市に住んでいた。教育楽器のメーカーに勤めた7年間で、私はプロのインストラクターとして日本全国で指導し、編曲し、楽譜を書いた。さまざまな技術を習得したが、自分の音楽にはあまり反映させなかった。手慣れた感じになることを意識的に避けていた。この時期に書かれた歌はどれもどこかしら澄ました顔をしている。アルバムを『ウインザーノット』という気取ったタイトルにしたのも、仕事でいつもネクタイをしていたサラリーマン時代を回想してのことだ。
アルバムは三部構成になっている。トラック1から6までが仕事に忙殺され孤独にさいなまれた時期、トラック7から11までが失恋に打ちひしがれている時期、トラック12から18までが新しい出会いと結婚にいたるまでの時期だ。つまり30歳前後の私が描かれた、バラエティーに富んだアルバムになったと思う。ぜひ聞いてみてほしい。
鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。