

神泉の流し 夜の白い灯
急須を持ち上げて 最後を洗う
寝室の方から 彼の寝息
明日の朝 手が予定を知る
取手の付け根 鈍い音が立つ
折れた瞬間 水音は途切れて
手のひらに 冷たい角の感触
「ごめん」を 言わずに息を吸う
折れた取手 手のひらに置いたまま
糊を探さない 戻さない手つき
流しの上に 破片を伏せておく
寝息の続く 寝室の闇
付け根を覗く 細いヒビの線
今夜始まった 亀裂じゃない
前からあった ずっと進んでいた
「いい所作だね」 彼の声が遠い
大和の家 嫁入りの急須
母が落とした朝 破片を伏せた
何も言わずに 朝の袋へ
私の手も 同じ角度を選ぶ
新聞紙を広げ 破片を包む
鋭い切れ口を 内側に折る
棚の奥へ 見えない場所に置く
別の急須を 棚の手前に
別の急須 明日の朝に出す
寝室のドア 手が一度止まる
同じ朝に 違う湯気を置く
「前からあった」とは まだ言わない
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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急須のレクイエム
Akemi
「急須のレクイエム」は、夜の流しで折れた急須の取手から、関係の決定的な亀裂が前から進んでいたことを知る一夜を描いたミディアムテンポのシティポップ。
神泉のアパートの台所、寝室から続く彼の寝息、手のひらに残る冷たい角の感触、付け根を覗くと現れる細いヒビの線、そして新聞紙に包んで棚の奥へ伏せた破片――生活道具の小さな損傷が、誰にも告げないまま受け取った関係の終わりの輪郭を静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、突発的な感情で別れるのではなく、ずっと前から進んでいたヒビを物理として確かめ、直さず捨てず見ない場所に置くことを自分の手で選ぶ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、都会の夜、台所の生活音、関係の温度差を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
今夜始まったのではないと知った亀裂を、新聞紙で包み、鋭い切れ口を内側に折って棚の奥へ伏せ、別の急須を棚の手前に置く。
直さず、捨てず、見ない場所に置く――そんな決定的な亀裂を自分の手で扱う夜を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



