Cassette Gadget 4q (sketch)のジャケット写真

歌詞

スズラン

岩下啓亮 Sardine

砂糖の夢は夜に溶けてった

鞄に詰めた術を抱いていた

一面の廣野スズランが咲いていた

コバルト色した空の下には

窓に歪んだ文字を書いていた

途方に暮れた若いのがいった

ありがとうよ先生

射幸心なる言葉

徒に煽って此処にたどり着いた

待ち焦がれた感触 忘れることない

魔法のような手に かかってしまえば最後さ

搾り取られるさ

握りしめたタダの紙っ切れは

路頭を迷うしわくちゃの屑さ

焦らせないでくれ

僅かばかり道草

賽の目振りこむ間くらいは

巻き込まれた瞬間 忘れるはずもない

明日になってみんな 持っていったらいいさ

生きていけるって いいな

砂糖の夢は溶けてなくなった

車窓の向こう雪が舞っていた

オホーツクの空スズラン揺れていた

まだ見ぬ光景 浮かんで消えた

当たらぬ標的 狙いを定め

満月 両手に慰め給え

  • 作詞者

    岩下啓亮 Sardine

  • 作曲者

    岩下啓亮 Sardine

  • レコーディングエンジニア

    岩下啓亮 Sardine

  • ギター

    岩下啓亮 Sardine

  • ボーカル

    岩下啓亮 Sardine

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今回のリリースはカセットガジェットシリーズの第四弾である。
2001年(21世紀)の前半、私は作曲のアプローチを一から見直した。具体的には、歌詞の内容をとことん突き詰めて、詞先で後から旋律をこしらえていった。この時期に作った曲は30曲を超え、大半は後に制作する『変身』と『21世紀のプロテストソング』に援用された。
ここに収められた習作は、スケッチの域を出ていないものが多い。下手なギターをかき鳴らす、一発どりの弾き語りがほとんどだ。編曲という化粧を施さない、いわばすっぴんの状態なので、リスナーの耳を楽しませる要素はほとんどない。けれども、私の作曲プロセスを検証するには、格好の資料といえるだろう(将来誰が検証するかさだかではないけれど、笑)。
ジャケット写真の場所は広島県尾道市。妻が撮影した。

アーティスト情報

  • 岩下啓亮 Sardine

    鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。

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