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今回のリリースはカセットガジェットシリーズの第四弾である。
2001年(21世紀)の前半、私は作曲のアプローチを一から見直した。具体的には、歌詞の内容をとことん突き詰めて、詞先で後から旋律をこしらえていった。この時期に作った曲は30曲を超え、大半は後に制作する『変身』と『21世紀のプロテストソング』に援用された。
ここに収められた習作は、スケッチの域を出ていないものが多い。下手なギターをかき鳴らす、一発どりの弾き語りがほとんどだ。編曲という化粧を施さない、いわばすっぴんの状態なので、リスナーの耳を楽しませる要素はほとんどない。けれども、私の作曲プロセスを検証するには、格好の資料といえるだろう(将来誰が検証するかさだかではないけれど、笑)。
ジャケット写真の場所は広島県尾道市。妻が撮影した。
鰯こと岩下啓亮 Sardineです。 1983年から2003年までの20年間で、ひとり多重録音した楽曲が約200曲あります。これらを8枚のアルバムにまとめて2024年に順次アルバムをリリースしました。2025年はアンソロジーの代わりに、年代順に編集したアルバムを発表します。 その音楽は、多種多様です。親しみやすいポップスもあれば、社会的視点をそなえたメッセージソングもあります。プログレッシブな構築性もあれば、パンク的な破壊志向の側面もあります。手ごわいピアニストで、マッドなシンセサイザー弾きで、たどたどしいギタリストで、音の読めるベーシストで、緩いリズムのパーカッショニストで、ひとり多重コーラスを駆使する、不器用なシンガーソングライターです。それらすべてのパートが、一つの人格に統合されているのです。 ロマンチックと薄情と情熱の混淆、とりとめもない不安と届かぬものへの憧憬を描いた、オールディーズだけどもエヴァーグリーン。表情豊かな鰯の音楽を、ぜひお聞きください。