

潮の間に 月はゆらめき
白兎 風を裂きゆく
渡らむと願ひしかの岸に
夢ひとひらを 波に託す
和邇の背を ひとつひとつ
踏みて渡る 欺きの橋
紅の潮に沈みて
痛みの海に 身を委ねぬ
光はなお 遠かれど
胸の奥 かすかに息づく
この身を洗ひて 罪を流し
明日の空へと 還りなむ
涙は潮にとけて
祈りは風にかへる
痛みのなかに 芽吹くもの
それを慈しみと呼ばむ
風の野に 蒲の穂ゆらぎ
露の音 やはらかに響く
恐るるなと そよぐ声
痛みさへ ぬくもりにかはる
白兎 瞳を閉ぢて
夢のうちに 息を整ふ
心の底に ひらくもの
それを命と呼ばむ
しづけさのうち 朝は来て
波はすべてを 抱きぬ
過ちさへ 祈りとなりて
白兎 いま還らむ
白き身は 風と舞ひ
赦しの空に とけゆく
穏やかに 息づきて
光の中に 眠りなむ
白兎 風となりて
光の野辺を 漂へり
潮の音も 遠くなり
影は露に 融けにけり
春は萌え 花は綻び
夏は潮に 夢を流す
秋は風に 歌を託し
冬は月に 祈りを眠む
暁の 雲わきて
白兎 微笑みぬ
痛みも咎も 波に融け
ただ やすらけき 光ぞ在れ
- 作詞者
HARU×澪
- 作曲者
SUNO
- プロデューサー
HARU×澪
- リミキサー
SUNO

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朝露の兔 (original)
Echo Scroll
潮の間にゆらめく月。
白き兎は、海を越えて向こう岸へ渡りたいと願いました。
そこには、自分が慕う美しい女神――八上比売(やかみひめ)が住んでいると聞いたからです。
しかし兎には翼も舟もありません。
どうしても渡れない海を前に、彼は考えました。
そして、海に棲む和邇(わに=サメ)たちにこう持ちかけます。
「お前たちの仲間と、兎の仲間、どちらが多いか数えてみよう。
あの島まで並んでくれれば、その上を跳んで数えてやろう。」
和邇たちは面白がって並び、兎はその背をぴょんぴょんと渡っていきます。
しかし最後の一匹を踏んだとき、思わず口を滑らせてしまいました。
「だまして悪かった! お前たちの背を使って渡ってきたのだ!」
怒った和邇たちは兎の毛を剥ぎ取り、
白兎は血だらけで浜に打ち上げられます。
海の塩が傷にしみ、痛みにうずくまりながら、
誰にも助けられず泣いていました。
そこへ通りかかったのが、八十神(やそがみ)たちの一行。
彼らは白兎を見て、面白がって言いました。
「海の潮で身を洗えばよい。」
兎はその言葉を信じて実行しますが、
潮が傷にしみてさらに苦しみました。
そこへ、最後に通りかかったのが大国主命(おおくにぬしのみこと)です。
彼だけが、そっとこう言いました。
「川の真水で身を洗い、蒲(がま)の穂の上に寝なさい。」
兎はその教えに従い、すると傷が癒え、
白く柔らかな毛並みを取り戻しました。
涙の中で笑顔を取り戻した兎は、
彼に向かってこう告げます。
「あなたこそ、八上比売を妻にするお方です。」
その言葉はやがて現実となり、
優しい神・大国主命は女神と結ばれます。
兎の痛みと祈りは、未来を照らす“予言”に変わったのです。
──この歌『稲羽の白兎』は、
その神話をもとに、“痛みを越えて光へ渡る心”を描いたもの。
嘘を悔い、傷つきながらも、
なお純粋な願いを失わなかった兎の魂は、
「赦し」と「再生」の象徴です。
波に身をゆだね、涙を潮に溶かし、
やがて風となり、光に還っていく。
それはすべての命がもつ、“生き直す力”を語っています。



