忘れないで未知子 Side A エメラルドのジャケット写真

歌詞

爺の語り

カブトムシ

それはわしが無門関の番人を

していた頃のことじゃ

一人の警察が

この門を訪れたのじゃった

それはまことに有難いことじゃった

「パスポートを提示されよ」

わしの懐には拳銃一丁

そこには

甲虫のような彩りがあったんじゃ

「ピンピン様!

私はポストマンでございます

この大切なお便りを

お届けしに参ったので

ここを通るつもりはございません」

そいつにはそのような意図は

無かったということじゃ

そのような意図とはつまり

このようなありもしない門を

潜ろうという無謀な意図じゃ

「結構だ

ではそのお便りをいただこう」

まさか故郷からのお便りだろうか

お母ちゃんですか?

わしが微笑んでも

そのポストマンは

頑なに表情を

緩めようとはしなかった

そしてあっという間に

引き返してしまって

やがて見えなくなってしまった

お便りにはこうあった

「ラジオネーム 私はピンピン

僕だって世界を救わないなんて

一度も言ったことはないよ

この坂の途中にあるテーマパークで

ソフトクリームを上手に作るのは

難しい

みんな左足か右足か

どちらかに体重をかけて

分厚いガラスから

屈折した世界を見ている

ジェットコースターは

移動手段になりはて

移動手段は

ジェットコースターになりはてた

このテーマパークで

不器用なソフトクリームマシンは

真っ白な風景を踏ん張り続けている

君を救うのは世界を救うに等しい」

それは紛れもなく

わしのお母ちゃんでした

  • 作詞

    堀 聖史

  • 作曲

    堀 聖史

忘れないで未知子 Side A エメラルドのジャケット写真

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東京藝術大学の大学院に在学中の4人組ユニット、カブトムシが2019年10月〜2020年9月の期間に制作していたアルティメットフィクションラジオ「忘れないで未知子」の750分にも及ぶ音源を再構成、集約させた2枚のスペシャルアルバムをリリース!

本作、「忘れないで未知子 Side A EMERALD」は、「忘れないで未知子」1〜12回放送の集約となるアルバム。選曲・構成はメンバーの藤井登生が担当。劇中に登場する楽曲を中心に、コールサイン、サウンドステッカーや、フィクションのコマーシャルなどを散りばめ、ひとつのラジオ番組のように構成している。
アルバムジャケットはメンバーの堀聖史が制作。劇中のモチーフ―目と鼻の〈痒さ〉、裸の〈ティラノサウルス〉、行進する〈私〉たち―が描かれている。 

超然的なアヴァン・ポップの世界をご堪能ください。

※「忘れないで未知子」はYouTubeにて全編視聴可能。

アーティスト情報

忘未知RECORDS

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