Lyric

ささやく風に　名を奪われ

正義の剣が　錆びついていく

すべては　あの夜から

ひとつの嘘が　世界を焼いた

「あなたは王国の誇りよ」

姫が微笑み運命が動いた

その瞳に世界の全てがあった

勇者と王女の婚約

未来を約束された勇者

誰もが祝福したあの夜までは

突如、姫がさらわれ

蘇る魔王ざわめく王国

勇者は使命を背負い死地へ挑む

だが、運命は残酷だった

魔の幻が空気を満たし

心を惑わす偽りの光景

見えたのは魔王の姿

斬り抜く刃血に染まる国王

立ち尽くす勇者に

扉の向こう叫ぶ兵士

「国王殺し」「魔王だ」

刻まれる裏切りの烙印

民は唾を吐き名誉は嘲笑に

信じていた友は沈黙

愛は刃へと変わる

仕組んでいたのはかつての親友

王女をさらい国王を殺させたのも

ただの嫉妬　勝てぬ嫉妬が狂わせた

斬るしかなかった悪の幻影を

最期に聞いた姫の言葉

「負ける者の苦しみが

わからないあなたが魔王よ！」

そして、彼女は命を絶った

何のために？誰のために？

何も救えず何も残らず

仲間も愛も信じた世界さえ

残されたのは憎しみだけ…

魔王などいなかった

ならば、なるしかない"魔王"に

民は震え　兵士は剣を抜いた

"魔王"と呼ばれたその瞬間から

世界が敵になった

かつての仲間たちも

願った平和も

今や俺の命を奪いに来る

炎の城焼け落ちた神殿

幾千の祈りも届かぬ夜に

奪われた全てを取り返すため

孤独より重い名を背負い

誰も知らぬ答えを求めて

血と涙で世界を試す

今や伝説でも勇者でもない

悪の象徴

それでも俺は生きる

滅びの中に意志を宿し

刻まれた裏切りの傷痕を

世界への問いに変えて

勇者はいつしか忌むべき名を背負う

「"正義"が勇者を殺すんだ」

「選ばれし者」その真実

誰が語ろう？今さら何を？

砕けて尚信じたかった

憎しみの奥まだどこかで

「理解してほしかった…」

「愛してほしかった…」

これは、贖罪の歌

誰より人間らしかった

勇者のリベンジ

俺は勇者

たった一つ、許されなかっただけの…

気づいてくれ…

この瞳に、まだ"光"があることを…