火種

Cru の新曲「火種」は、人生の苦しみや葛藤を真正面から捉え、それを“面白がる強さ”へと変換するメッセージソングです。歌詞の随所で「マ」の響きを用いたライムを連鎖させることで、重厚なテーマをリズミカルかつ軽快に描き出す、ユニークな作品となっています。

冒頭で提示される「人生はいつも苦しい。それを面白がれる人間こそが強く生きられる」という哲学的なフレーズは、この楽曲の核となる思想。抹消・摩擦・末期・真っ赤……“マ”で始まる言葉の連続が織り成すラップ的なフロウは、内省と挑戦を行き来しながら、リスナーを引き込んでいきます。

サビでは「まっさら真っ白真っ暗　参った人生」といった対比的なワードが連なり、混沌とした現実をそのまま肯定する姿勢が鮮烈に描かれます。さらに「真っ逆さまな人生ほど真っ当で面白い」という逆説的なメッセージは、どんな困難や転落すらも生きる力へと昇華する人間の強さを示しています。

力強い言葉遊びとビートに乗せ、Cru が提示するのは「逃げずに、堂々と自分の人生を生き抜け」という明快なメッセージ。聴き手に勇気と痛快さを与える、まさに“人生讃歌”とも呼べる楽曲です。