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12世紀ウェールズの聖職者カンブレンシスは、「アイルランドの司教や修道院長、聖人はどこへ行くにもハープを携え、敬虔な気持ちでそれを奏でて楽しむのを常とする」と記しています。
私が敬愛する18世紀アイルランドの盲目のハープ奏者ドミニク・マンガン Dominick Mungan (1715–c.1787) は、教会音楽にも深い関心を持っており、その清廉な趣味から想像できるように、「オールド・ハンドレッド」を何よりも愛していたといわれています。
この一文から、ドミニクがどのような教会音楽を聴き、奏でていたのだろうか――私は長年そのことを考えてきました。
このアルバムは、少しずつ集めてきた讃美歌のレパートリーを2巻に編纂したものです。
第1巻では、アイルランド、スコットランド、ウェールズに伝わるケルトの讃美歌や聖なる旋律を収録しました。これらの旋律には、もともと教会のために作られたものだけでなく、世俗の歌や伝統的な旋律が後に讃美歌として歌われるようになったものも多く含まれています。
そのため、聴く人によっては世俗音楽のようにも、祈りの歌のようにも感じられる――そんな幅広く、寛容な魅力を持つ音楽だと私は感じています。
演奏には、演奏者自身が設計・製作した20弦ヒノキ製金属弦ハープ(op.361)1本のみを使用しています。日本画家・中井智子による美しいケルト模様の絵付けが施された、この特別な楽器の響きをお楽しみください。
楽曲解説はこちらのリンクからご覧いただけます。
https://note.com/carolanacademy/n/n9493af8eba67
寺本圭佑(てらもとけいすけ)ハープ 京都市出身、横浜市在住。雨田光示氏にハープ、坂上真清氏にネオ・アイリッシュ・ハープ、樋口隆一氏に音楽学を師事し、失われたアイリッシュ・ハープの音楽美意識を追求。18世紀以前のアイリッシュ・ハープの研究により芸術学博士(明治学院大学大学院)。2017年と22年、BS-TBS「こころふれあい紀行~音と匠の旅~」にアイリッシュ・ハープ研究家として出演。ケルトの音色を現代によみがえらせる活動を取り上げられる。『ケルト文化事典』(東京堂出版)の「ハープ」「オカロラン」等、『浜松市楽器博物館総合案内図録2020』「アイリッシュ・ハープ」の項目を担当。横浜と京都でハープ教室を開講し400名以上を指導。2014年から独学で347台以上のハープを制作(2025年4月現在)。この楽器の普及活動に役立てている。2022年『20弦ハープで奏でる366の曲集』を上梓。2024年3月22日から毎日18時に自作ハープによる演奏動画をYouTubeにアップしている。www.youtube.com/@telynmoto