明日元気かなのジャケット写真

歌詞

明日元気かな

ラムダ

雨粒より冷たい弦 爪の先で震える

開ききった瞳が 窓の黒を吸い込む

爛れて腐りかけた皮膚を 袖で隠す

骨ばった手首は 他人のものみたい

同級生の罵声も 今は水の底の残響

感情の色は すでに剥がれ落ちた

浮き上がる血管の中を ドス黒い赤が巡る

「まだ生きてる?」と自分に訊く声 遠くで歪む

明日 元気かな ——その問いは呑み込んだ

答えたら 戻れないから 今は沈むだけ

甘く濁った液体が 脳をやさしく焼き

耳の奥で小さく笑う 黒い蟲

明日 元気かな 考えないまま 瞼を閉じる

会社の椅子は檻 背中を押す仲間はいない

カレンダーは真っ白で 時間だけが腐っていく

心の輪郭が溶け 皮膚の下を何かが這う

骨の数を数えて また忘れる

笑い声は金属の反響 掴めば粉になる

「帰ってこい」と呼ぶ声も 幻の味しかしない

明日 元気かな ——唇では言えない

触れれば崩れるから 今は溶けていたい

夜の砂糖水を飲み干せば 世界が柔らかくなる

頭の隅を齧る 見えない蟲が増える

明日 元気かな 息だけ数えて やり過ごす

きれいごとを吐く余裕もない

無重力の甘い泥に沈み 境界線が消える

鏡の前 笑わない私が 笑う私を見ている

誰かに起こされるまで 私は置き去りのまま

明日 元気かな ——誰かが代わりに問うてくれ

その声を抱きしめて 岸へ引き戻してくれ

明日 元気かな ——重なり合う声の海で

乾いた心を掘る 薄赤い蟲が騒ぐ

明日 元気かな わたし 元気かな

頷くだけで 今日いい

狂ったコンパスの針が 最後の北を指す

窓の闇に指で書く 「また 明日」

  • 作詞者

    Junya

  • 作曲者

    Junya

  • プロデューサー

    Junya

  • ボーカル

    ラムダ

明日元気かなのジャケット写真

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    明日元気かな

    ラムダ

「明日元気かな」は、メンタルの翳りと孤独を真正面から描くダーク・バラード。アコースティックギターのコードが土台となり、ベースとドラムが乾いた鼓動を刻む。近接ボーカルは囁きから割れる叫びまで振れ幅を持ち、吐息や揺れるビブラートまで露わにする。編成はピアノや淡いストリングスが重なり、空気の冷たさと密度を増やしながら、視界の端に小さな灯をともす。
歌詞は、ただれていく身体感覚、甘く濁った液体に身を委ねる依存の比喩、そして耳の奥で笑う**“蟲”**の像で、痛みのリアリティを詩的に輪郭化。青いショートヘアの少女が廃墟で歌うビジュアルと響き合い、綺麗事でも絶望一色でもないグラデーションの中で、かすかに「明日」を問い続ける。
コードの擦過音、ドラムのドライなアタック、低域に滲むベースの倦怠――音の質感に宿る生身を、ぜひヘッドホンで体感してほしい。

アーティスト情報

Lambda Records

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