

暖簾を下ろした 古い酒場で
ひとり盃 傾けりゃ
夢のつづきが 湯気になって
壁の染みへと 消えてゆく
惚れたつもりで 生きてきた
それも人生 笑い話
今日で看板 下ろすのさ
俺は愛を 返上する
愛はもう 返した 情だけ残して
未練はコートの 裏に縫う
誰を恨む わけでもないさ
ただ少し 夜が長い
女の嘘も 男の意地も
今じゃどれも 古新聞
駅のホームの 風の冷たさ
それが妙に 身にしみる
守ると誓った 言葉たち
どこで落とした 知らないが
拾いに戻る 年でもない
俺は愛を 返上した
愛はもう 返した 情だけ残して
後悔は酒で 割ればいい
強がるほど 人は弱い
それくらい 知った夜
幸せなんて 言葉よりも
不幸に慣れた この背中
それでも人は 誰かの影を
探して夜を 歩くのさ
もう恋なんて 柄じゃない
夢も希望も 営業終了
静かに灯り 落とすだけ
これが俺の けじめだろ
愛はもう 返した 情だけ残して
それでも酒は ぬるいまま
笑えないほど 泣けもしない
そんな夜を 生きていく
テナーよ泣くな 今夜だけは
俺が 代わりに泣くからさ
情だけ抱いて 明日へ行く
それが俺の 愛返上情
……愛は返した
……情だけ残った
テナーが 遠くで 泣いている
- Lyricist
TADAO CHAN
- Composer
TADAO CHAN
- Producer
TADAO CHAN
- Synthesizer
TADAO CHAN

Listen to aihenjoujou by TADAO CHAN
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情を抱えたまま生きてきた男の、静かな決別。
「未練返情」「愛返上情」「女難返情」——
三つの物語は、恋と人生に揺れ続けた心の記録。
恨みでもなく、逃避でもない。
それは、過去を抱きしめたまま前へ進むための選択。
低く響く歌声と、哀愁漂う演歌サウンドが描く、
大人のための情念三部作。
『愛返上』
——それでも人は、愛を知っているから歌う。



