リリース日: 2026/09/12
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「乱痴気なのに、なぜかジェントル。」
光の戦士ナチョスの13枚目となるアルバム『乱痴気ジェントル』は、そんな一見矛盾した言葉が、そのまま音になったような作品だ。
全15曲。収録時間は約22分。特筆すべきは、その一曲一曲の短さである。1分前後の楽曲がずらりと並び、最も短い「ムテキ」はわずか52秒。「わからない」は57秒しかない。
しかし、これは「短い曲を集めたアルバム」という単純な話ではない。
むしろナチョスは、長々と説明することをやめ、思いついた感情や言葉、リズム、風景を、その瞬間のまま音楽に閉じ込めている。
アルバムは「謙虚な板前」で幕を開け、「夢みたい」「まーいっか」「メロニー」と続いていく。そこには人生について深く考えさせるような言葉があるかと思えば、突然「お茶の歌」や「あばら奥義ラッシー」のような、タイトルだけでは意味を理解することすら難しい世界へ連れていかれる。
そして「マイクチェック」。
普通なら楽曲になるとは思わないようなものまで、ナチョスは音楽にしてしまう。
「アナタスキ」のようなまっすぐな言葉が現れたかと思えば、「あれ孤独」では一転して、ふと人間の内側にある寂しさを覗かせる。
この振れ幅こそが、このアルバムの魅力だ。
ふざけているように見える。
しかし、よく聴いてみると、そこにはかなり真面目に「生きること」が存在している。
笑いと孤独。
日常と宇宙。
くだらなさと哲学。
乱痴気とジェントル。
それらを明確に分けることなく、全部一緒にしてしまう。
そして最後を飾るのが「始まる宇宙」。
アルバムの終わりなのに、タイトルは「始まる」。
ここにも、この作品らしい矛盾がある。
15曲を聴き終えたはずなのに、何かが終わった感じがしない。むしろ、ここから何かが始まるような余韻を残して作品は幕を閉じる。
13枚目という節目にして、ナチョスは壮大な物語を作ろうとしない。
昼飯を食べ、笑い、悩み、孤独になり、誰かを好きになり、マイクをチェックして、そして宇宙へ行く。
そんな、あまりにも人間的で、あまりにも自由な日常そのものを音楽にしている。
『乱痴気ジェントル』は、理解するためのアルバムではない。
まず聴いて、笑って、戸惑って、もう一度聴いてみる。
そうしているうちに、いつの間にかこの「乱痴気でジェントルな宇宙」に巻き込まれている。
そんな不思議な15曲である。
東京出身、13歳よりドラムを始める。 メインバンド、サポートバンドをしながら今はソロでも活動している。現在拠点はインドと日本。 光の戦士ナチョス。 2019年8月にソロ活動の光の戦士ナチョスとしてのアルバムを発売し、現在10作発表中。