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1980年代後半の英国インディー・ポップ(1980s uk indie pop)やポストパンクの系譜に連なる、きらびやかな時代の光沢(80s pastiche gloss)や空間を埋めるシンセの層(synthesizer layers)を徹底的に焼き尽くした、極限まで引き算されたキッチンシンク・リアリズムの傑作です。BPM72の物憂げな3/4拍子。きらめきを排したクリーンなエレキギターのアルペジオ(jangly clean electric guitar arpeggios)が唯一のテンポの錨(rhythmic anchor)となり、残響を極限まで絞った極小の密室音響(dry small room acoustic)のなか、リムショットのクリック音(rim-click percussion)と無骨なベースだけが、音と音の間の「空白(negative space)」を際立たせています。
歌詞の核となるのは、ドラマを徹底的に拒絶した家族のリアル。「台所のカウンターに両手を突き、朝からずっと同じシャツを着て立ち尽くしている。泣いているわけでも、平気なわけでもない。ただそこにいる(just there)」。マンチェスター特有の気怠いイントネーションを宿した、あえて感情の起伏を排したフラットな単一ボーカル(single unprocessed lead vocal)は、ピッチ補正(autotune)を完全に拒絶。フレーズの合間に無骨に残された生々しい呼吸音(audible breath)が、圧倒的な実存感を放ちます。中盤のブリッジで、すべての楽器が完全無警告で突如消失し、部屋の空気と生々しい声だけになる過激な引き算を敢行したのち、最終サビを経て、解決のコードを完全に拒絶したリフレインの途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。