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日登里 林(Hinobori Hayashi)名義での第一作。作詞・作曲に加え、初めて編曲までを一貫して手掛けた記念碑的なシングルです。
楽曲は、焦燥感を煽るような高速のアコースティックギター・ストロークで幕を開け、そこに重なるピアノの旋律が美しいコントラストを描き出します。BPM174というハイテンポなアンサンブルには、理想と現実に引き裂かれる心の動揺と、それを音楽に昇華させようとするアーティストとしての覚悟が刻まれています。
歌詞では、新生活への期待が脆くも崩れ去る様を「桜が散る姿」に投影しました。「二月の寒さは優しかった」と振り返るほどの過酷な春。他人と比較して自らの正当性を探しては、理想という名の幻に打ちのめされる。「諦めた順に大人になる」という一節は、痛みを抱えながらも生きていかなければならない私たちの、残酷なまでの成長を象徴しています。
日登里 林 (ひのぼり はやし) 誰もが生きていく中で抱える「痛み」。それを和らげるでも、背けるでもなく、ただ直視して向き合う。彼の音楽の根底には、常にその生々しい感情が流れている。 学生時代のイジメや失恋、ビターな現代社会に対するアンチテーゼ、そして大人になることへの抵抗。彼自身が深く傷つき、「他者からの共感」に飢えていたからこそ、「この気持ちは自分だけではないはずだ。同じ痛みを抱える誰かを救いたい」という切実な願いが、作詞の原動力となっている。 複雑で繊細な言葉の数々とは裏腹に、紡がれるメロディーはどこまでもシンプルでストレート。耳に残るポップネスを追求した楽曲アレンジは、独学ゆえの衒(てら)いのなさが生んだ彼だけの武器だ。 歌、演奏力、知識――すべてにおいて「突出したものがない」と自省しながらも、「ひとりでできることを増やそう」と日々、愚直に鍛錬を重ねる姿。その不器用なまでの実直さが、今、同じ迷いの中にいる人々の心を強く揺さぶっている。