

深夜3時
はっさくの皮が
灰皿みたいに積もる
白い筋だけ
指にからまって
剥がれない
爪の匂いだけ
朝まで残る
甘いはずなのに
舌だけずっと苦い
テレビの光が
壁に貼りついて
誰かの笑い声だけ
薄く伸びていく
シンクに落ちた皮が
排水溝に渦巻いた
ご覧ください
この心
わたしの中身は
乾いた はっさく
ご覧ください
この心
わたしの中身は
つかない ろうそく
火を近づけても
芯だけ濡れている
照らされる前から
影だけ置いてある
だけ
ぶくぶくとかえってきたわたし
排水溝の奥から
名前のない泡を連れて
ご覧ください
この身体
わたしの内部は
みえない鏡
映しているのに
誰にも見えない
ご覧ください
この身体
わたしの内部は
焼けない日差し
明るいだけで
何も乾かせない
湿った靴音で
廊下が傾いていく
まっすぐ歩くほど
床だけずれていく
だけ
冷蔵庫の光で
だけ 育った会話
開けるたび
少しだけ白くなる
指紋のないコップ
そこにあったはずの
口のかたちも消えている
称賛された焦燥感とわたし
よくできました
よく耐えました
よく笑えました
そのたび
内側だけ
少しずつ剥がれていく
洗剤で
タンパク質ごと
からめとり
泡になった輪郭が
排水口へ沈んでいく
きれいになったね
とてもきれいだね
でも
どこまでが汚れだったのか
もうわからない
だけ
蛇口の水が
同じ音で落ちる
ぽたん
ぽたん
数えているうちに
朝が近づいて
部屋の角だけ
先に目を覚ます
窓の外には
まだ夜が残っている
わたしの中にも
まだ夜が残っている
でも
それは悲しみじゃない
名前をつけたら
すぐ腐るもの
ご覧ください
この心
わたしの中身は
乾いた はっさく
香りだけ残して
水分をなくした
ご覧ください
この心
わたしの中身は
つかない ろうそく
祈られるほど
火から遠ざかる
ぶくぶくとかえってきたわたし
流したはずのものを
両手に抱えて
ご覧ください
この身体
わたしの内部は
みえない鏡
ご覧ください
この身体
わたしの内部は
焼けない日差し
湿った靴音で
廊下が傾いていく
帰る場所だけ
少しずつ斜めになる
深夜3時
はっさくの皮が
まだ少しだけ匂う
甘いはずなのに
舌だけずっと苦い
シンクの底で
小さな泡がひとつ
ぶくっ
と鳴って
わたしになる
だけ
- 作詞者
しゅか / Room no.38
- 作曲者
しゅか / Room no.38
- プロデューサー
しゅか / Room no.38
- ギター
しゅか / Room no.38
- ベースギター
しゅか / Room no.38
- ドラム
しゅか / Room no.38
- キーボード
しゅか / Room no.38
- シンセサイザー
しゅか / Room no.38
- その他の楽器
しゅか / Room no.38

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はっさく
しゅか / Room no.38
深夜3時。
はっさくの皮だけが静かに積もっていく。
排水口、冷蔵庫の光、湿った靴音。
生活の中に染みついた孤独と、経年劣化した感情を閉じ込めたダークポエトリー作品。
甘いはずなのに苦い。
乾いているのに、どこまでも湿っている。
アーティスト情報
しゅか / Room no.38
しゅか / Room no.38です。 J-POPやHIPHOPを軸にしながら、 感情をそのまま吐き出すのではなく、 感情が揺れ、壊れ、歪んでいく「過程」を言葉にしています。 癒しや答えを用意することよりも、 触れられなかった部分や曖昧な途中経過を、 そのまま残す表現を大切にしています。 音楽は、感情を盛り上げるためのものではなく、 思考が進んでいくためのリズムだと考えています。 バラード、rock、EDM、K-POPなど、 表現に合う形を選びながらジャンルを横断しています。 わかりやすさより誠実さを。 完成より現在地を。 この音と言葉は、 自分探しの物語ではなく、 「いま、ここで生きている」ことの記録です。 楽曲の形はバラード、EDM、HIPHOPなどに限定せず、 詩を起点に、必要な音を選んでいます。 わたしにしか書けない唯一無二を大切にしています。
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