リリース日: 2026/10/16
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1日の終わり、疲れ果てて重たい身体を引きずりながら玄関のドアを開ける。
目の前に広がるのは、片付く気配すらない散らかった部屋と、リビングいっぱいに響き渡る5人の子どもたちの騒がしい声。
「今日も特に楽しいことなんてなかったな……」
バタバタと過ぎ去った時間に追われ、ため息混じりにスマートフォンを手にとる。
画面の向こうには、きらびやかな海外のリゾート、洗練された高級レストラン、誰もが羨むような優雅な日常を切り取った、遠い誰かのまばゆい世界。
その人がどんな孤独や葛藤を抱えているかも知らないまま、手の届かない他人の“切り取られた光”と、自分の代わり映えのない日常を比べては、つい小さな嫉妬と虚しさを募らせてしまう――そんな夜が、誰にでもあるのではないでしょうか。
本作『salt.』は、そんな自分自身への静かな自戒と、見失いかけていた「本当の愛おしさ」への気づきから生まれたミディアムナンバーです。
タイトルにある「salt(塩)」には、二つの意味が込められています。
一つは、塩のように日々の暮らしの中に当たり前に存在しすぎて、そのありがたみを忘れてしまいがちなもの。
そしてもう一つは、スープやお湯に落とせば一瞬で形を失い、目に見えなくなってしまうもの。
毎日繰り返される、うるさいほどの賑やかさ。
声を荒げて怒ってしまう自己嫌悪の夜。
狭い湯船で飛び散る水滴や、他愛もないおしゃべり、温かい布団のぬくもり。
それらはあまりにも日常的で、あまりにも身近にあるがゆえに、私たちはそのかけがえのなさに気づくことができません。
まるで指の隙間をすり抜けていく砂のように、湯気の中に溶けて消えていく塩のように、何気ない今日という時間は、音もなくこぼれ落ちていきます。
けれど、想像してみてください。
いつか子どもたちが大きくなり、一人、また一人とこの家を巣立っていった後の、静まり返ったリビングを。
その時、私たちが胸を締めつけられるほど愛おしく思い出すのは、特別な記念日や贅沢なイベントではなく、きっと、この「何もない、ありふれた、騒がしい今日」のはずです。
健やかに笑い合い、同じ食卓を囲み、肌の温もりを確かめ合えること。
それ以上の奇跡が、一体どこにあるというのでしょうか。
遠くの誰かの景色を眺めて羨む前に、どうか足元に咲いている小さな花に気づいてほしい。
目には見えなくなっても、スープの味を確かに支える一粒の塩のように、通り過ぎていくこの瞬間こそが、私たちの未来の心をずっと満たし続けてくれるのだから。
毎日の暮らしに少し疲れてしまったすべての大人へ。
聴き終えたあと、散らかった部屋が、騒がしい家族の声が、ほんの少しだけ愛おしく思えるようになる――そんな温かな光を届ける一曲です。
「弁護士 × 会社役員 × 5児の父」が紡ぐ、圧倒的リアリティの人間描写と愛の形。 Motty Suzuki(モッティ・スズキ) 弁護士および会社役員として多忙な日々を送る傍ら、5人の子どもを育てる父親でもあるデジタルミュージッククリエイター。6歳から学んだバイオリンやオーケストラでの経験をルーツに持ち、毎朝のピアノ鍛錬とDTMを用いた独自の楽曲制作を行う。 自身の結婚生活や家族と過ごすリアルな日常から生まれる楽曲は、等身大の温もりに満ちている。最新曲『ショコラ』では、現代の夫婦が直面するすれ違いや孤立感をテーマに、失われかけた愛の温度を再び取り戻そうとする切実で前向きなメッセージを発信。確かな音楽的構築美と、人生経験に裏打ちされた深い人間描写を兼ね備えた、新世代の大人のためのポップスを提示する。
salt.