Lyric

嘯いた風が頬を撫でてゆく

ふと止まり木で揺れた窓の外

灰色の空で蓋した決まりや

苦しみや怒りに興味もなくて

啄んで熟れる前に腐っても

烏も果実も悪くはない

そうでしょう？

ちひろ、君は想うのか？

愛される喜びをつけられた傷跡を

伝える術はなく残っている

疲れ果てた指先でなぞった言葉だけが

向こう岸に持って行けるものだよ

さあ、ロープを解こう

海辺の道を歩いた時繋いだ手を離さないでよ

あの烏は味を占め

啄む指、ここにも居場所は無かった

ちひろ　いまも　おもうのか？

ちひろ、君も思うのか？

張り裂ける鳩尾に突き刺さるあの日々を

伝える術はないわかっている

一枚の画用紙に殴り書く絵空事を

夢見るように出来ちゃいないのだ

哀しみと喜びは表裏

灰色を吸い込んで白い息を吐き出したんだ

そして僕はきみを待っていた

重ならない線のそのずっとずっと先で

表裏が重なる気がしていたんだ

さあ、ロープを解こう

物語の終わりのその向こう