

夏だけ開く
海沿いの小さな売店
君はレジの奥で
氷を割っていた
僕は毎日
同じ缶コーヒーを買った
飲みたいわけじゃなく
君に会う理由が欲しかった
恋じゃないって
言い聞かせた
運命なんて
思わなかった
ただ君が
笑うたび
胸の奥で
季節が変わった
潮風
指先
濡れた砂
言えなかった名前が
まだ乾かない
閉店前の浜辺で
ふたり並んで座った
君はサンダルを脱いで
波だけを見ていた
「ここ、嫌いじゃないけど」
小さく言ったあと
「帰る場所ではないんだ」
って笑った
その言葉の意味を
僕は聞けなかった
聞いたら終わりが
近づきそうで怖かった
君の横には
いつも半分だけ距離があった
近づいたぶんだけ
別れも濃くなる気がした
古いスピーカーから
割れたノイズ
流行りの曲より
君の沈黙が刺さった
好きだと言えば
思い出になってしまう
言わなければ
何者にもなれない
夏はずるい
始まりみたいな顔で
ちゃんと終わりを
連れてくる
恋じゃないって
逃げていた
永遠なんて
望まなかった
ただ君が
いなくなる
それだけで
息が下手になった
潮風
指先
濡れた砂
言えなかった名前が
まだ乾かない
短い時間を
軽い恋と呼ぶ人がいる
でも僕には
一生分の数秒があった
缶コーヒーのへこみ
レシートの裏の落書き
君が笑った角度
忘れるには
形がありすぎた
人は誰かを
失うんじゃない
その人がいた自分に
戻れなくなるだけ
恋じゃないって
嘘をついた
泣いてないって
また嘘をついた
ただ君が
いた夏を
僕はまだ
しまえない
波音
足跡
閉まった店
君のいない海に
ノイズだけが残った
次の夏も
あの売店は開くらしい
でも君がいないなら
そこはもう
僕の知らない場所だ
- Lyricist
SNOIZ
- Composer
SNOIZ
- Producer
SNOIZ
- Vocals
SNOIZ

Listen to The Sea Without You by SNOIZ
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The Sea Without You
SNOIZ
夏の恋が苦しいのは、終わったあとに思い出すからじゃなく、その場所そのものが“君のいた記憶”に変わってしまうからなのかもしれない。
SNOIZ「君のいない海」は、海沿いの小さな売店で出会った“君”と、言えないまま終わった想いを描いたエモーショナルソング。
毎日買った缶コーヒー、閉店前の浜辺、波だけを見ていた横顔、聞けなかった言葉。恋じゃないと自分に言い聞かせながら、本当は季節ごと心を持っていかれていた。言えなかった名前、乾かない記憶、そして“君のいない海”に残されたノイズが、静かに胸を刺す一曲。



