Lyric

幼虫成虫寄生虫

赤い水の中を泳ぐ虫

精緻な世界の正中線か

排水溝から逃げ出したそうめん

これが本当の流しそうめん

それは泳ぐ虫の如く

夜の毎に味の素に

夜露に濡れたコンクリの道に

誰にも会えぬ青虫のように

岩に瀬かるる滝川のように

流れもあえぬ紅葉のように

芽が出て葉が出て花が咲き

そして実がなり地に落ちる

目が出来歯が出来鼻ができ

そして耳が出来血に落ちる

考える葦猥褻なマシン

歩いて喋る二本の足

ティキティキなってるビートは足音

物陰に足拍子

美脚1美脚2 イチニサンシ

言葉が影の様に付き纏う

主客の境が曖昧になる

二の倍数で増えていく目の玉

手塚手ずから手掴みで

耳塚自らミミズになって

目鼻口は感覚器官

化粧をすればまるで花の様

化粧に懸想仮想の仮装

あーあの子また痛そうなこと

ありふれた金属薬指の

リングとディンドンキンコンカンコン

繋がることに繋がれ疲れ

5円玉が癒着して取れない

口を開けばエロいことばかり

言葉借りてもうまくは使えず

血で血を洗い皿で皿洗い

目で目を洗い歯には歯を

唇には唇を

都会の吐息と室外機

細く長く吐く君の息

冷麦が詰まる血管に詰まる

都市の水道と流しそうめん

都市の血管と流しそうめん

都市の下水と流しそうめん

その素麺を幼虫とみるかその素麺を成虫と見るか

精緻な世界の正中線か

なるべく早く死なないように

なるべく長く生きられるように

血肉に変わる素麺と共に歩く細く長い道