Lyric

春の木漏れ日は

絶えず暖かく

されどこの心なおも

冷たきままで

春風に舞ふ花弁

揺るる心の様

去り行く背に 声すら漏れず

わたし伸ばす手すらも

先に行きますと申せばや

さぞや気も安らぎたまふらむ

こんなわたしでも許されむと

願ふは我儘なるや？

どうか先に逝くなぞとあなた

そんな冗談はおよしなされ

愛してる そうよ

愛してたの あなた

だから、そのままでいいのに

霞風 通り過ぎ

ひゅうと袖揺らして

捲る紙 零れ落ちて

あなたとの日々も

留まれず 残すばかり

きっと微笑みたまふや

名残褪せる桃の便り

わたしと重ねてしまう

蒼いこの空の下でわたし

独り 想ひ馳せやまぬばかり

あなた 何処かで風に紛れて

そっと見守りたまふや？

紅の混じったこの空の下

人の往来に見紛ふとも

寂しゅうはあらぬ

あなたに叱られぬよう

今日も紙を捲る

来る便りは あなたの名前

霞む消印が知らせている

これがあなたの最後の言葉

文字が滲んでしまうわ

どうかそんなこと 仰せなさるな

わたし あなたの隣でよかった

愛してる そうよ

愛してるの あなた

桜また咲く頃とも