

背の低い枝 たゆませて
まだ青い実 もぎって齧った
甘くて酸っぱい くちびる
心もとなく 噛みしめては
寒い 寒い
足下の小枝
ばりり ばりり と、踏みしめて
深くて暗い森を抜け 峠を幾つも越えて
ここまで来たんだ
くじいた足 かかと 血がにじんで
もう一歩もたりとも 動けない
痛い 痛い
今世ではようやく会える予定だった
ずっとこの刻を待っては
そればかり夢見続けてきた
けれど でも また
存外 計算 狂ったらしい
来ない 来ない
約束の時間は 過ぎ去った
まるで 黒い鳥が飛び立つみたいに
何もかも不確かなのに
それだけはわかる 不思議
幻 現
境界 おぼろげ
遠い 遠い
次の機会を待てだなんて
そんなにかんたんにいわれても
途方に暮れてしまう
でも 仕方ない これは決め事だから
ひとしきり泣いたら
来た道を戻って 家へ帰ろう
山の端 沈む夕陽
朱い 朱い
空気震わせ 彼方から届く声
「今度はそちらが待つ順番
だから どうか
その窓を開けて待っていておくれ
今度こそ きっと
必ず 迷わず辿り着くから」
なんて 信じていいの
行く世 行く世
もちろん
ひとの形をしていなくたって
花だって虫だって獣だって魚だって
わたしは わかる
ひと目見れば わかる けれど
あなたは案外 ぼんやり者だから
気づかないままで
通り過ぎてしまうかも知れない
少し不安
目と目と体温 それから指と指
交わしあいたい 全部 忌憚ない愛で
56億と7000万年
の 先の先の先の先の先の先の
あの樹の下で
途轍もなくて
果てしな過ぎて
なんだかすっかりわかんなくなっちゃった
(むしろ
わからないくらいが丁度いい)
現在、過去、未来、往来
すべてはあくまでも
通過点
振り返った
その背後には
もう跡形もなかったとしても
それでも
あった
たしかに
そこにあった
大丈夫かな
わたし
まだ
待てるのかな
(大丈夫
僕たちなら
きっと 次こそは
上手くやれるさ)
つながって 積み重なって
座標に打たれた点は
線になって 線は
いつしか 寄り集まって
きらめく 星々は連なって
誰もが初めて観ることになる
新しい物語を
描き出すだろう
ほんとうに?
(ほんとうに)
遠い昔
それとも
遥か未来
誰しもが想像もつかない場所に
いつしか辿り着く
口伝えに 語り継がれる
筋書きのない
幾通りものストーリー
生み落とされる
奇譚
- Lyricist
yuupopic Sato
- Composer
Nagashi
- Producer
yuupopic Sato
- Recording Engineer
So Sasatani
- Mixing Engineer
Nagashi
- Mastering Engineer
So Sasatani
- Graphic Design
yuupopic Sato
- Vocals
highball-girl, Nagashi

Listen to KITAN (feat. Nagashi & yuupopic Sato) by highball-girl
Streaming / Download
- 1
sound4
highball-girl
- 2
Eternal Still Life
highball-girl
- 3
- greeting (s) -
highball-girl
- 4
GO-REM
highball-girl
- 5
-hou-ZEN
highball-girl
- 6
syuku-sai
highball-girl
- 7
tamatogi
highball-girl
- 8
-hou-CHU
highball-girl
- 9
summer-time (feat. Summer Chill, Shinichiro Yano & yuupopic Sato)
highball-girl
- 10
poping candy (feat. So Sasatani & yuupopic Sato)
highball-girl
- 11
ephemera
highball-girl
- 12
telephone call- (feat. Takiya Kuwahara & yuupopic Sato)
highball-girl
- 13
Fly Me To The Moon
highball-girl
- 14
Rainbow
highball-girl
- 15
-hou-GO (feat. Takiya Kuwahara, Summer Chill, Shinichiro Yano, So Sasatani & yuupopic Sato)
highball-girl
- ⚫︎
KITAN (feat. Nagashi & yuupopic Sato)
highball-girl
------きっとあなたはシンプルな「詩人によるポエトリー・リーディング集」だと想像するだろう。そしてその予想は覆されることになるだろう。
声のアルバム『kikoeru(きこえる)』は、詩人 佐藤 yuupopic(以降、佐藤)が変名コードネーム “highball-girl”名義でリリースする初の音源。タイトルは”聴こえる”、”声”、”得る”、”越(超)える”、”エール”より。朗読、会話、報せ、バンド・サウンド、ラジオノイズ、挨拶、通話等、多様な声の表現からなる全16曲。詩人、アーティスト、ギャラリーオーナー等の表現者(桑原滝弥、juvenile電化製品、大覚アキラ、ながし、夏野氷、矢野信一郎)をゲスト、楽曲・作詩提供に迎え、詩×音楽のユニットpopi/jectiveの盟友 笹谷創の音楽的全面協力で2年の歳月をかけて制作。佐藤はメイン作詩、プロデュース、アートデイレクション、ドラム、field recordingも手掛けた。
1曲ずつ独立しながら全曲聴くことで1篇の声の映画が浮かび上がるサウンドトラック的な、詩の特性である「わからないものをわからないまま」味わう“ネガティブ・ケイパビリティ”に満ちたコンセプチュアルで不思議な手触りの1枚。
------同名の第5詩集(収録作「永遠の静物_Eternal Still Life」で日本詩人クラブ第10回「新しい詩の声」賞受賞)を紙の書籍にて同時リリース。双方間を往来し耳と目で複合的に視聴可能なメディア・ミックスの試みでもある。
着想当初より急速的に時世が移り変わる中で「詩」を胸に灯しひたむきに作り上げた本作。愛するものを奪われぬ、奪わぬために。くちびるに詩を。ポケットに生活を。まっとうな怒りを。何度でも繰り返す、愛しているを。それぞれの場所で声上げ続けるスポークン・ワードを。(2026年6月吉日 highball-girl/佐藤yuupopic)
Artist Profile
highball-girl
変名コードネーム”highball-girl(ハイボール-ガール)”は、日本の詩人 佐藤 yuupopic(以降、佐藤)が、2023年頃より用い始めた活動上の別名義。および「詩」を基軸に既存の枠組みを意識せず、他分野のアーティスト(アート・ユニット、ラッパー、落語家他)とのコラボレーションや共演含め、多様な形式、手法にて制作を実践、作品を発表し続ける延長線上に生まれた”プログレッシブ”な詩の表現プロジェクトの概念とその総称。「詩は記憶を記録するメディアであり過去/現在/未来を自在に往来可能なタイムマシーンかつ日々の暮らしと密接な存在」という、佐藤の眼差しのエッセンスが凝縮された思考形態の現れでもある。 【主な活動】音楽、映像作品への声の提供や撮影ワーク、"JOYFUL NOISE TRIO"(Okamoto Toshiyuki(mandolin)+TETSU MOLOTOV (electronics)の「静かなる音響術式」をバックに詩人high ball-girlがひたすら言葉を紡ぐ即興ノイズエレクトロニカ・ユニット)のvoice担当等。
Nagashi
yuupopic Sato
東京生まれ。詩人。ネーミングの由来はyuu × popmusicより。映画助監督、映像制作会社、WEB 制作会社、旅行会社勤務を経て、会社勤めのかたわら、詩のレーベル「風神雷神や。」運営、詩集出版、アーティストの笹谷創との詩×音楽のユニット"popi/jective"、ポエトリー・リーディング、ブックイベント、毎月1回の書店での「月イチ店番詩人」他、詩と声と本と本屋にまつわる活動。既存の枠組みを意識せぬ表現を実践するスタイル。アート・ユニットや落語家、ラッパーなど他分野のアーティストとの共演やコラボレーションも積極的に重ね、展開範囲は東京、横浜、千葉、群馬、京都、大阪、新潟、仏パリ、マルセイユ等。”プログレッシブ”な詩の表現プロジェクトの一環として2023年から変名コードネーム”highball-girl”での活動を開始。 【既刊詩集】『トランジッション』(2007年)『球春礼賛2017』(2018年)『野球という名の、ひかりに似たもの』(2019年)『シの本』(2022年)。2026年6月、最新第5詩集『kikoeru』(収録作「永遠の静物_Eternal Still Life」で日本詩人クラブ第10回「新しい詩の声」賞受賞)を同名のhighball-girlの声のアルバムと同時リリース。
Fuji Raijin-Ya